第29話 『革命』 その10

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 ずいぶん長い時間、平伏させられていました。


 しばらくすると、司祭が、例のおまじないを唱え始めたのです。


 みな、その声に従って、こんどはまだ顔を伏せたまま、その呪文を唱えてゆきましたのですが、その響きは、ややくぐもりながら、不気味に会場内を渦巻いていったのです。


『うんじゃー まいやら  うんじゃー まいやら  うんじゃー まいやら・・・・・』


 やがて、司祭が言い放ちました。


『みな、顔を上げよ。その顔を巫女様にお見せ、せよ!』


『はは~~~~~~~!!!』


 どわどわと言う感じで、全員が顔を舞台に向けたのでした。


『ぶわ! うそ、・・・お嬢!』


 そうなのです、そこに立っていたのは、紛れもなく、さっきまで一緒にいた、お嬢ではありませんか。


 しかも、スワンが、頑強な付き人のように傍を固めていました。


『巫女様! 万歳あ~~い!  万歳あ~~~~い! 巫女様あ~~~!! 万歳ぅおあ~~~~~~い!!!』


 どこかの『ハード・レトロ・ポップス』グループの、ファンクラブ大会のような歓声が上がりました。


 その歓声が鳴り響くまま、お嬢は会場を見渡していました。


 目が座っています。


 普通じゃない感じがします。


 それから、お嬢は、やがて、お嬢の足元、かぶりつきにいた、ぼくらを、じっと見下ろしました。


 お嬢の、その足が、ぼくの目の前にありました。


 伝統的な『巫女スタイル』ですが、素足です。


 指が、結構太いのには驚きました。


『みなのもの、よくぞ、集まってくれた!!』


『うわ~~~!!! 巫女様ぅまあ~~~~!!』


 再び、さらに激しく歓声が上がりました。


 絶大な人気があるようです。


 でも、なんか、変です。


 どこか、おかしいぞ。


『みなのもの、良く聞け。ついに、『革命』の幕は開いた。新しい時代が来るのじゃ。誰も拒めはしない。たとえロボット政府であろうが、ものの数ではない。

突き進め! 打ち破れ! 』


『うおぁ~~~~~~~!!!!!!』


『みな・・・今日は、ここに、偉大なる、あの91階の『主様』がおられる。91階で、『革命』の火花を、まさに最初に放った方であり、我らの英雄である。91階の『主様』は、このあと、この全モールの開放に乗り出されるのじゃ。ついに、その日は近い。みな、聴け!! 偉大なる91階の『主様』の声を!!』


『うぉあ~~~~~~~~‼!!!!!! ! !  !  !』


「なななな、なんだあ~~~~~???」


 ぼくの横で、キューさんが立ち上がりました。


「さあ、出番ですよ。」


「はあああ~~~~~~???」


 キューさんは、いぶかるぼくを、ものすごい力で引っ張り上げ、舞台まで強制的に引きずって上がったのでした。




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