第27話 『革命』 その8

 101階の秘密集会も、91階の集会と同じような様子だったのです。


 もともと同じ『仕様書』にもとずいて、行われているに違いありません。


 入口では入念にチェックされました。


「これは、91階の『主様』であらせられるぞ!!」


「ははは~~~!!!」


 そのあたりにいた人たちが、体を半分に折りたたんで平伏しました。


「あ・・あのね・・」


「こちらは、『名誉人間』と確認。諸君、仲間である。」


「お~~~!」


 なにがなんだかよくわからないけれど、とにかく架空の『権威』や『称号』のおかげで、ぼくらは、薄暗い、やや赤っぽい会場内に入ることが出来たのです。


『うんじゃ~ まいやら うんじゃ~ まいやら うんじゃ~ まいやら・・・・』


 すでに、例の意味不明のお祈りが始まっておりました。


 そこには、『全モール・レクリエーション協議会』の会員さんたちが、たくさん集まってきております。


 ぼくたちふたりは、最前列の『特別席』と紙がセロハンテープで貼られた椅子に案内されたのです。


 目の前には、あのカップが置かれ、すでにガスが発生しています。


 こわごわと腰かけると、甘くお鼻をくすくすとくすぐるような、おかしな匂いがします。


 これこそは、人間の感覚を狂わしてしまうガスです。


 周囲を見れば、いかにも幸せそうに、見えない何かを見ながら不思議なお経らしきを唱える人々が、ぐるっと取り巻ています。


「心配ないね。暴力性は、あまり生まないからね。」


「多少は生むのか?」


「まあ、命令されればね。」


「やなこった。」


 しばらくすると、壇上に幹部と思しき人が5人登場して来て、椅子に座りました。


 それから、やがておごそかに、『司祭』が現れたのです。


 大きな鬼か宇宙人のような仮面をしているので、お顔はわかりません。


 妖しいマークの付いたTシャツと、赤いタイツをはいていて、いささか、アニメ漫画コスプレ系統チックです。


 両手で、飾りがいっぱいついた、勺の怪物のようなものを捧げ持っています。


 91階の、あの副店長さんに比べて、かなりお腹が大きいことから、明らかに別人と思われるのでした。



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