第25話 『革命』 その6

「儀式って、このあいだのでしょう? あれはいやだよ。おかしなガスを使ってるんだもの。危険このうえない。」


 ぼくが即座に言いました。


「あれは、一種の軽い幻覚剤ですね。ロボット政府が作ったのです。人間政府は表向き一応禁止しているが、ロボット政府は人間の尋問とかに必要な時には、いまでも使うね。あれを吸い込むと、人間は良い気分になって、ちょっと従順になる。自白剤に使えるね。ただし、効果は割と短いね。ガスが収まるとすぐに目が覚めるね。どこかから、きっと横流しされたね。」


「よけいよくない。やっぱ、拒否です。」


「あなたは、うちの組織に雇われてるんですから、給料ももらってるんだから、しかも、91階の『主様』なんだから、出席する義務があると、本部が言ってきてます。」


「やだ。じゃあ、全部辞める。」


「あっさりしたやつだねぇ。ちょっと、気に入った。」


 お嬢が言いました。


「あたしだって、あれはやだ。」


「え? 出たことがあるんですか?」


 お嬢の言葉に、ぼくがとっさに反応しました。


「ああ。潜入した事がある。それこそ、やな経験だよ。なんかこう、身体が勝手に動くんだなあ。ほんわかして、なんでも、『司祭』の言うとおりにしたくなる。あの時点だったら、刺せと言われたら、人間でも刺したかも。」


「もっとよくない。拒否。」


「まあまあ。」


 キューさんが、耳元で言いました。


「いい事がありますね。・・・・・・ね。」


「ほう!? あ、そうなんだ。」


 ぼくは、ちょっと怖いけど、かなり興味を惹かれました。



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