第11話 『難民』その10
しかし、ぼくのお家を、あまりに甘く見てはいけません。
ぼくは、お家に周囲に、さまざまな防犯センサーを設置しておりました。
小さな部屋の小さなモニターには、周囲の様子が常時表示さてれております。
まあ、ただしこれは、どちらかというと、趣味の範囲のものです。
だって、わざわざ、ぼくの家に尋ねて来ようなんて人は、そうはいませんからね。
このあたりは、比較的治安も良好です。
それは、巨大モールが出来たおかげでもあります。
まあ、モールに守られているという側面は、やはり否定できないのです。
聞いたところによれば、万が一、どこかからミサイル攻撃された、とかの場合、モールは強固なシールドで防御されるらしいのですが、その際は、街ごとまるまる、防御する、とのことなのです。
つまり、それが、このややこしい、巨大モールを受け入れる自治体側の、大きなメリットだったのです。
そこで、店長代理さんが言う、モールの地下に、軍事基地があるらしいと言うのは、実は地元民にとっては、ある種暗黙の常識事項だったのです。
ただし、他所様には、吹聴しないほうがよい。
とね。
さて、ごろごろと、身の回りの整理をしたりは、してみたものの、ぼくは、まだあまり、本気になってはいなかったのです。
まあ、多分の明日の晩も、ここに帰って来るだろうと、考えていたのですから。
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その夜中すぎです。
ぼくは、さすがに、うとうと、しておりました。
部屋の電灯は、点けたままでした。
キューさんがなにをしていたのかは知りませんです。
ぼくは、警報チャイムの音で目を覚ましました。
侵入してきた場所で、チャイムの音は変わります。
しかし、もし違う場所から同時に入ってきたら、その少しのタイミングのずれに応じて、チャイムが続けて2曲鳴るのです。
このときは、そうでした。
つまり侵入者は、玄関方向と裏口方向の、両方から入ってきたのです。
ぼくは、モニターを確かめました。
「うわ! 人間みたいだな。」
そうです、体温を検知して、その姿が赤くなっております。
もちろん、自動で録画も始まっています。
ぼくは、1階に声をかけました。
「キューさん!」
「あいよ。」
キューさんが駆け上がってきました。
「これ・・・・」
「はい、来ましたね。これ、見覚えがある人たちね。」
「は?」
「モールにいつもいるね。」
「え?」
『ぎしゃぎしゃ』という音が、外からします。
「窓をこじ開けようとしてる。入ってきたら嫌だな。」
「確保します!!」
キューさんは、素早く2階の窓から飛び降りました。
そうして、ものすごい、人間業ではない動きで(当たり前ですが)侵入者を殴り倒してゆきます。
圧倒的な強さです。
お店で、アッと言う間にやられてしまったのが、まったく、うそみたいでした。
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