第11話 『難民』その10

 しかし、ぼくのお家を、あまりに甘く見てはいけません。


 ぼくは、お家に周囲に、さまざまな防犯センサーを設置しておりました。


 小さな部屋の小さなモニターには、周囲の様子が常時表示さてれております。


 まあ、ただしこれは、どちらかというと、趣味の範囲のものです。


 だって、わざわざ、ぼくの家に尋ねて来ようなんて人は、そうはいませんからね。


 このあたりは、比較的治安も良好です。


 それは、巨大モールが出来たおかげでもあります。


 まあ、モールに守られているという側面は、やはり否定できないのです。


 聞いたところによれば、万が一、どこかからミサイル攻撃された、とかの場合、モールは強固なシールドで防御されるらしいのですが、その際は、街ごとまるまる、防御する、とのことなのです。


 つまり、それが、このややこしい、巨大モールを受け入れる自治体側の、大きなメリットだったのです。


 そこで、店長代理さんが言う、モールの地下に、軍事基地があるらしいと言うのは、実は地元民にとっては、ある種暗黙の常識事項だったのです。


 ただし、他所様には、吹聴しないほうがよい。


 とね。


 さて、ごろごろと、身の回りの整理をしたりは、してみたものの、ぼくは、まだあまり、本気になってはいなかったのです。


 まあ、多分の明日の晩も、ここに帰って来るだろうと、考えていたのですから。



 **********  **********



 その夜中すぎです。


 ぼくは、さすがに、うとうと、しておりました。


 部屋の電灯は、点けたままでした。


 キューさんがなにをしていたのかは知りませんです。


 ぼくは、警報チャイムの音で目を覚ましました。


 侵入してきた場所で、チャイムの音は変わります。


 しかし、もし違う場所から同時に入ってきたら、その少しのタイミングのずれに応じて、チャイムが続けて2曲鳴るのです。


 このときは、そうでした。


 つまり侵入者は、玄関方向と裏口方向の、両方から入ってきたのです。


 ぼくは、モニターを確かめました。


「うわ! 人間みたいだな。」


 そうです、体温を検知して、その姿が赤くなっております。


 もちろん、自動で録画も始まっています。


 ぼくは、1階に声をかけました。


「キューさん!」


「あいよ。」


 キューさんが駆け上がってきました。


「これ・・・・」


「はい、来ましたね。これ、見覚えがある人たちね。」


「は?」


「モールにいつもいるね。」


「え?」


 『ぎしゃぎしゃ』という音が、外からします。


「窓をこじ開けようとしてる。入ってきたら嫌だな。」


「確保します!!」


 キューさんは、素早く2階の窓から飛び降りました。


 そうして、ものすごい、人間業ではない動きで(当たり前ですが)侵入者を殴り倒してゆきます。


 圧倒的な強さです。


 お店で、アッと言う間にやられてしまったのが、まったく、うそみたいでした。


 


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