第10話 『難民』その9


 キューさんは、ぼくの、このつたない家で、一晩、宿泊することになりました。


 ぼくは、キューさんの生い立ちとかも尋ねたかったけれど、それは、やめにしました。


 そういうことは、キューさんが自発的に教えてくれる積りなった時のお話ですから。


 だいたい、ぼく自身が、自分の身の上を話す気には、なっていなかったのですから。


「私は、寝なくて大丈夫。ちゃんと今夜は監視する。あなたは休んでください。」


「はあ・・・ロボットさんは、寝ないのかな。」


「まあ、寝てもいいが、意味はないです。ただし、内部機構の自動メンテナンスのために、最低、月に2回、2時間ずつ休息します。その際は、予告しますから。」


「しなかったら?」


「さあて、知らないです。あなたも、自分のどこが、いったい病気になるか、正確に予測なんか、できないでしょう?」


「ふうん、そう言われたらそうですなあ。でも、警備するって? 何か危険性があると思うんですか?」


「はい。なんだかんだ言っても、我々の行動は、反政府的ですから。最近、人間統治地区内で、闇討ちが発生しているという多数の情報があります。用心する方が良いです。」


「はあ・・・気にしてなかったけど。」


「まあ、あなたは、引退後だし、私の持つ情報から推察する限り、影響力が、限りなくゼロに近いので、あまり危険性は高くはないですが、今日の事により、その可能性が、5%程度、高くなったと考えるのが妥当でありますから。」


「はああああ・・・・・。危険人物とか?」


「まあ、そこまでは、まだ行ってないね。」


「ふうん。じゃあ、まあ、お願いしましょう。おやすみなさい。テレビ見ていいですよ。何でもあるものは、使って。お金以外はね。」


「はい。おやすみなさい。」


 ぼくは、我が家の2階の、小さな寝室に籠りました。



 そうして、その深夜過ぎに、突然の襲撃を受けることになったのです。



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