第7話 『難民』その6
それは、レコードショップの次に、ぼくが多く居座る、巨大本屋さんの店長代理さんだったのです。
「なんで、ぼくが『主様』なんですか? 代理さんたちは何をしていたのですか?」
ぼくが尋ねました。
背が高くカッコいい、高い声の代理さんが言いました。
「われわれの儀式です。」
「ギシキ?」
「はい。我らが偉大な神をたたえています。」
「神様って、なに? 」
「まさに、この巨大モールの神です。この大きな建物の、いずこかにおわすのです。」
「なんだそりゃ。じゃ、ぼくは?」
「あなたは、統計上から見て、この91階における、最高最長の滞在者。群を抜いています。まさに、『主様』なのです。」
「ぶ! そりゃあ、皮肉? お金はそんなに使わない。」
「お金の問題ではない。金持ちの特権階級はわれわれの味方ではない。」
「叱られますよ。会社に。」
「問題ない。これは職務外です。組合みたいなものだ。我々の目的は、全モールの裏世界の統一。ロボットの追放、人類による正当な統治。なのである。あなたは主様でありますゆえ、協力してください。」
「はあ??? なんで、そうなるの。」
「ここを牙城にして、世界を支配している邪悪なロボットどもを排除するのだ!!」
「こらこら、大きな声で言ってたら、粛清されますよ。」
「ここは、ぼくらの聖地だから大丈夫。ばっちり秘密保護してます。あなたは、聞いた以上、協力してください。」
「あのね。それは脅迫と言います。だいたい、なんでキューさんを襲ったの。」
「いやあ、彼はロボットですから。あなたと仲良しとは思はなかったし。まあ、あなたが、お望みならば、『名誉人類』と言うことにします。主様。」
ぼくは、そこで、キューさんがドアの陰に来ていたことに、ようやく気が付きました。
「キューさん。聞いてたのか。」
「あい。聞きました。わたしは、あなたの味方をしたいです。」
「あのね。キューさん。これは、違法行為だと思うんだ。」
「あい。でも、わたしは、ロボットたちには、うらみがある。あなたの味方をしたい。」
「へ? 恨み、ですか?」
「あい。」
「ううん・・・・・」
なんだか、訳の分からないことに、なってきました。
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