第2話 新しい家政婦さん

ボクの両親は、いつも仕事で忙しい。

だから、小さい頃からボクは家政婦さんと一緒に過ごす時間が一番長い。

そんな家政婦さんは、いつも厳しくて、いつも優しい。

そんな家政婦さんは、ボクの母親のような存在だ。

でも、ボクが11歳になったある日、その家政婦さんは仕事を辞めることになった。

ボクはイヤだった。

でもしょうがない。

結局大人の事情というやつで、家政婦さんも残念な顔でボクに言った。

年齢的にも若くはない母親代わりだった家政婦さんの代わりに来たのは、若い女の人だった。

彩乃さんというその女性は、最近高校を卒業したばかりで、いわゆる社会人一年生というやつだ。

背が高く、モデルのような体型に、長く伸びた柔らかそうな髪からはシャンプーか香水かわらないけど良い匂いがした。

まるで芸能人にいそうなオーラのを醸し出した彩乃さんは、大人の女性という魅力にあふれていた。

初めて会った日、ボクは彩乃さんに恋をした。

一目惚れで、ボクの初恋だった。

彩乃さんは、ボクのために一生懸命面倒を見てくれる優しいお姉さんのように見えた。


「今日から私が他の部署に行くことになってごめんなさいね。

ずっと私が一緒に居てあげたっかったのだけれど、とうとう順番がきてしまったみたいなの。

代わりに、今年から入った彩乃さんに任せるけど大丈夫かしら?」


「うん・・・ボクは気にしないよ。」


「彩乃さん。

ここのお家でたくさん経験して、立派な家政婦として頑張ってくださいね。」


「ぁはい!!!!!

わぁかりましたぁ!!!

全身全霊、私の持てる全てを使って全力でぼっちゃんのお世話をさせて頂きますので、どうか!どうか!どぉぅか!!ふつつか者ですが、どうぞ宜しくお願い致します!!!」


「彩乃さん?

土下座はやめて貰えますか?」


「この子、少し悲観的な性格してるけど、料理上手で家事とかすごいのよ。

だから、仕事は問題ないと思うから宜しく頼むわね。」


「はい、あなたが言うならボクも安心です。」


「はぁ~!!!!

私はここで働いて良いんですね?!ね?!ね?!?!

では、これから晩ご飯の準備を行いますので、ぼっちゃんはお部屋でゆっくりしていてください。」


「ぼっちゃんも、やめてもらえる?」


「いえ、ぼっちゃんはぼっちゃんですから!!

他の呼び方がわかりません・・・

そうですね。例えば、ご主人様とかですか?」


「あ、いや、じゃぁぼっちゃんで・・・」


「ありがとうございます!!!

では、私はお仕事頑張ります!」


「今昼食べたばかりだから、頑張りすぎなくて大丈夫だよ。」


こうして、ボクの家に彩乃さんが勤めることになった。

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