第6話 あの、女神様の御年は? (2)

 僕は中々聞くに、聞けれないけれど。


 僕は勇気を振り絞り。


「じゃ、何太后さま、聞きますね~。後で絶対に怒らない。拗ねないでくださいね、わかりましたか?」


 僕は小学校の先生のように何太后さまへと、指をリズムよく動かし、刺しながら告げ。


「あぁ~い、あなた~。わかりました~」


 何太后さまが可愛く、僕へと言葉を返してくれた。


 だから僕は、女神さまへと。


「何太后さまは、他界される前は何歳だったのですか?」と。


 僕は尋ね。


「何太后さまが余りにも妖艶で麗しい。美し過ぎるから。僕は貴女が何歳なのか見当つかなくて……」、


「それに弁王子の年齢って、僕と余り変わらないから。もしかして? 何太后さま、は、家の母さんと同じくらいの年齢なのか? と。僕は思ってしまって本当に申し訳ございません」と。


 僕は最後に何太后さまへと再度謝罪を入れると。


「……ん? 何だぁ~、李儒理樹が悩んでいたのは、そんなことなのか~。朕は、李儒理樹、其方が~、バツイチや未亡人の年上妻は嫌だと申すのかと思い。朕は胸をドキドキさせていたのだぞ~。ああ、よかった~」と。


 何太后さまは、僕へと嬉しそうに言葉を返せば。


 闇の僕と、僕とが喧嘩! 争いをしている傍へと。


 彼女はスッ、スススと素早く近寄り。


 僕の耳へと自身の妖艶に、キラリン! と、艶よく輝く唇をプニュ! と当て──。


『ハブシュ、ハブシュ』と。


 悪に染まっている目も鼻も口も無い、暗黒の僕へと聞かれないように。


 何太后さまは、大変な小声──。


 そう、彼女の息遣いで、僕の耳がくすぐったくなるような小声で。


 何太后さまが、前世の僕に殺された年齢を内密に教えてくれたから。


 僕は女神さまの年齢を聞き、自身の両目の瞼が大きく開くほど驚きながら。


「えぇ~! うそでしょう~、何太后さま~?」


 僕は彼女に絶叫交じりの声で、叫ぶように尋ね返す。


李儒理樹~、朕の年齢を聞いて~。そなたは何でそんなに驚くのじゃ~」と。


 何太后さまも僕の絶叫交じりの声での台詞を聞き、驚愕しながら僕に言葉を返せば。


「そなたは朕に対して、大変に失礼なことを思いながら、驚いているようじゃが~。李儒理樹は朕の年齢を何歳ぐらいと考えていたのじゃ~?」


 先ほど僕に憤怒しないと告げた癖に。


 何太后さまは大変に御怒り。


 自身の頬をフグのようにプゥ~! と可愛く膨らませながら。


 僕に不満を言いつつ、尋ねてきたから。


「三十代半ばくらいかな? と、思っていました。あっ、ははは」と。


 僕は片目を腫らせ、鼻血を垂らしつつ、何太后さまへと笑って誤魔化せば。


 彼女はパクリ! ガブだよ!


 童貞君の僕の耳をガブリと噛みつつ、ハグハグするから。


「うぎゃ、あああっ! 痛い~! 痛いです! 何太后さまへ~!」と。


 女神様に、自身の耳を噛まれた僕が不満を漏らせば。


李儒理樹~! そちが朕に対して、大変に失礼なことを申すからじゃ~」と。


 何太后さまが僕へと不満を漏らすから。


「だって何太后さまには弁王子がいますから。僕の世界の常識からいくと三十代半ばから四十代前半ぐらいかな? と。僕は普通に、日本の常識で考えたのですが? 何太后さまは、弁王子を何歳で出産されたのですか?」


 僕は女神さまの人間の時の実年齢を聞き。


 僕の予想を上回るぐらい若くて、ピチピチしているからこの女性ひとは。


 だから僕は女神さまに尋ねた。


 すると僕の女神さまはまた、『ハブシュ、ハブシュ』と僕の耳へと囁くから。


 僕がくすぐったい余り、ブルブルと身震いすれば。


「う、うそでしょう、何太后さま?」



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