第4話 前世の貴方の所業を許します

李儒理樹、あなたがそんなにも、前世でおこなった所業を悔いるのならば。朕は、前世のあなたの所業を許しましょう~、今後は朕のために、命を投じて生涯尽くしなさい。李儒理樹、わかりましたね~?」


「はい、わかりました。今後は何太后さまのために僕は働きます」、ではないが?


 闇の僕と善の僕? が殴り合い! 噛み合い! 向こうの髪は引っ張れないか?


 こいつは、前世の僕が暗黒化した影だから、髪は無いし、顔も無い状態の、のっぺら坊と言う奴だから。


 僕は、僕の髪を引っ張ることは出来ないのに。


 あいつ! と、言うか?


 こいつは!


 僕の髪を平然と引っ張りながら。


 僕の顔を殴ってくるから。


 僕の顔は完全に鼻血ブゥ~な、状態になっていけれど。


「くそ! くそ! こいつ目!」と。


 僕は男の子……。


 小霊帝こと劉弁王子……。


 じゃなく。


 僕が気がつけば。


 先ほどまで、『お母さま~、お母さま~』と泣いていたはずの、幼い皇帝陛下の姿はなく。


 神々しく光り輝く、珍しい黒髪のエルフさま! 女神さま! 何太后閣下が。


 この通りの本当に美しい御姿……。


 まあ、こんなに若くて美しいのならば、前霊帝である劉宏陛下も寵愛するだろう。


 でも、この何太后ひとよりも劉協陛下のお母さんであるは、更に美しい女性ひとだと言う話しだから。


 僕は(どんだけぇ~)と、思いながら。


 僕の前世の悪行を許してくれると告げてきた。


 女神さま、何太后閣下へと。


「そうですか、何太后さま。ありがとうございます」と、冒頭シーンの言葉他、色々告げ、謝罪とお礼を述べ終えると。


「じゃ、何太后さまは、今晩から僕の夢枕に立たないと言うことですか?」


 僕は、悪しき僕と喧嘩をしつつ、何太后さまへと問う。


「うん、もう朕は、李儒理樹の夢枕には立たぬが。そなたの側で毎夜過ごすことにするから。李儒理樹は朕のために励め。特に朕は、前霊帝、劉宏殿を失ってから、女盛りなのに朕は、大変に寂しい思いをしておったから。李儒理樹は朕に良く尽くし、奉公し、可愛がるのだぞ。あ・な・た……」


 女神さま! 何太后さまは、「ふっ、ふふふ」と妖艶に微笑みつつ、喧嘩の最中の僕のことを彼女は──。


 今度は昔話に出てくるような天女さまのようにフワフワと浮き、見下ろす。


 それも僕の若い身体を猫科の野獣のように舐めるように見詰め。


 最後は、自身の妖艶、艶やかな唇をペロリと舐め、美味しそうに見詰めつつ。


 女神さま! 何太后さまは!


 僕の押しかけ女神さま! 彼女さま! 奥さま宣言をしてきた!


 だから僕の口は大きく開き。


「う、うそでしょう、何太后さま~?」


 僕が絶叫交じりで、彼女に問えば。


「転生した李儒理樹は、未亡人の年上の妃は嫌いか?」


 何太后さまは、少し悲しそうな顔と甘え声音で僕へと。


 そう、異世界ファンタジーのヒロインらしく、ヒーローの僕? の、脳を蕩けさすような口調で問いかけてくるから。


 僕も普通、正常の男子だから!


「そ、そんなことは、ないです。実際何太后さまの容姿は、僕が今までテレビや雑誌で見た、海外のセレブな女優さんやモデルさん達と比べても上位の容姿をしていらしゃいますから……。それに? とても子供一人産んだ身体には見えないくらいプロポーションの方も素晴らしいので文句はないのですが。ただ……」


 僕が意味深に何太后さまへと呟くと。


「ただとは何だ? ただとは? 李儒理樹、朕に申して見ろ」と。


 何太后さまが、未だ喧嘩の最中の僕にこんなことを尋ねてくるから。


「えっ!」と僕は驚嘆を漏らすのだよ。


「こいつ! こいつ! 僕の生涯がかかっているんだ! 邪魔をするな!」


 僕は、僕の顔を殴りつつ、不満を漏らす。


李儒理樹、何をそんなにイライラしている。早く朕に言いたいことを言わぬかぁ~。朕もこのままお主に隠し事をされるのはごめんじゃ~。やはり男と女はフェアじゃないといかんと朕も思うから~。それに朕は、その辺の小娘と比べても容姿では、あの貂蝉と比べても負ける気はせんから~、の~」と。


 何太后さまは、必死に僕へと自分アピールをしてくるのだが。


 僕は美しい女神さまに対して、本当に無礼なことを尋ねてもいいのだろうか?


 僕は、僕と殴り合いをしつつ。


(う~ん、僕との喧嘩も、少し疲れたな)と思いながら。


 女神さま! 何太后閣下に! 本当に尋ねてよいものかを。


「う~ん」と呻りつつ、思案をする。



 ◇◇◇



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