第220話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【援軍】(1)
「な、何ですか、あれは?」
曹操孟徳の妹君である曹仁嬢が、何かを遠目で見て確認をし、指をさし驚嘆を漏らせば。
「さぁ、何かな? 儂も初めてみたよ。副頭」
悪来典が埴輪仕様の木馬の上で肩を竦め、両手を上げながら。この軍……。
夏候惇の緊急発光灯による。援軍要請をこの場にいる戦姫達が、自身の両目で確認──。受理した曹操孟徳の実に妹であり。副将の曹仁が、姉の大事な王子さまを守る。救助するための一軍を率いて、慌てて現地へと行軍をしている最中に彼女は埴輪の木馬の上で驚嘆を漏らし。その横で埴輪の木馬で駆ける悪来典韋が、曹仁へと話しかけている様子が、只今の様子なのだ。
「多分、オアシス。緑地の後だとは思うのですが? 曹仁殿と典韋殿……」
二人の会話に割って入るように、新たな女性の声。それも大変に物静か鈴の音色のような女性の声音で、困惑した言葉、台詞が漏れてくる。
「何であのような場所にオアシスがあるのですか、荀彧(じゅんいく)殿? 確か私の記憶だと。あの辺りは何も無い只の黄土の荒野だった気がする……と、いうか? 只の荒地としか私の目には、今迄映らなかった筈なのに。何故あのように無残に破壊。伐採をされた。元緑地があるのでしょうか?」
埴輪のおチビな一向一揆衆達に伐採、破壊をされた。弁姫皇女殿下が己の魔力、妖力を高め。異世界から自身を守る。守護するための勇者。騎士(ナイト)を召喚するために創った。緑、緑地、自然を守護する精霊であるエルフには、自身の魔力を高めるためには、必要不可欠な緑の大地、オアシスの悲惨な姿、様子を遠目から凝視して困惑している少女──。
そう。エルフにしては大変に珍しい髪色。漆黒の髪色を持つ、エルフの物静かなお姉様である荀彧へと曹洪嬢が問いかければ。
「……う~ん、私(わたくし)も何故あるのかは、曹洪殿解りませんが。只、私(わたくし)自身もあの辺りを余り気にしながら注意深く、城壁の頂上から見て確認。観察をした事はないので何とも申しあげる事はできませんが。曹洪殿の言われる通り。あの辺りも、この辺りとは余り変わらない只の荒れ地。荒野だった筈ですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます