第219話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(29)
それも、一度ならず何度も、だ。
だから埴輪の巨人兵は、自身の足元から黄砂の塵。砂煙を舞い。舞らさながらグラリだ。グラリと自身の身体。足の状態を揺らし動かしたのだ。
「いまだ! いくぞぉおおおっ! うりゃぁ、あああっ!」
埴輪の巨人兵の身体、足の状態が揺れ、崩れるように動けば。それを確認した、埴輪の巨人兵の左足を華雄将軍のように、自身の両手で握るグレイブ。薙刀で切り刻むと、いうよりも。叩く、殴るように攻撃を加えていた夏候惇の口から威勢、気勢、荒々しい声音。声色での口調の台詞、言葉が吐き、放たれると。
夏候惇と、彼女が騎乗する木馬が青白く、神々しく輝き始めるのだ。
そう。先程の華雄将軍と同じだ。夏候惇が騎乗をする木馬は、自身の主の勇んだ台詞、咆哮を聞けば。瞬時、素早く。後方へと跳ねるように一歩下がり。自身の身体を前屈みの姿勢──。姿勢になれば直ぐに、青白く輝く一つの砲弾──。自身の主、スキル【騎馬突撃】を使用した夏侯惇とともに迫撃砲の弾丸。弾と化して、埴輪の巨人兵の左足へと向けて突撃をおこなったのだ。
だから紀霊将軍と、パーティー主。リーダーである弁姫殿下から指示、下知を受け。彼女、臣下のサポートをしながら。魔弾砲を撃ち、放ちを繰り返していた袁術お嬢さまの目の前で、あれだけ動かない。動じない状態を保っていた埴輪の巨人兵も、自身の身体を揺らし、片膝をつく。ついてみせたのだ。
この場にいる者達の前で、『ドォ―ン!』と、大変に巨大な音──。この辺り一体に響き渡る。……どころではない。この場、埴輪のおチビな一向一揆衆達……。
そう、只今片膝をついた埴輪の巨人兵の血肉になったおチビな兵達によって無残な様子。姿を晒す。曝けだしている。弁姫殿下の祭壇。オアシスがある位置は、漢帝国の首都。帝都からは、そんなにも離れてはいない距離だから。洛陽の町。宮殿内まで聞こえたのではないか? と、思われる程の音と地鳴りを出し。地震のように辺り一面を揺らせてみせたのだ。
李儒(理樹)の御姉さま二人はね。仲良く連携。攻撃をして、今迄何者にも。攻撃に対しても動じない様子を見せていた埴輪の巨人兵の膝を地面につける功績を。その様子に驚愕している李儒(理樹)と。このパーティーメンバーの主である弁姫殿下へと二人の戦姫は、三國志演技に出演する英霊。英雄。勇者の武の上位ランクさまらしい振る舞い。勇敢さと強さ。強靭さを魅せる。魅せたのだが。
その攻撃も、攻撃力も、埴輪の巨人兵を、膝をつかせるが精一杯……。這いつくばり。破壊。塵と化、する迄には至らないのだ。
だからもっと、もっとだ!
力が、武力が、パーティーメンバーが……。
そう。この巨大な、埴輪の巨人兵を粉々に破壊できる仲間がもっと欲しいと願う。李儒(理樹)と劉弁姫殿下こと、女神さまだったのだ。
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