第218話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(28)
でも、当の本人である弁姫皇女殿下はと言うと。全く気にもしない素振り、と言うことはないのだが。
自身の目を細め見詰めてくる華雄将軍に対して、だけではなく。
先程から自身の臣下である紀霊将軍を魔法障壁で守護。サポートしながらも横目でチラチラとこちらの様子を窺う。
それも、華雄将軍と同じく、嫉妬、不満を募らせ、自身の目を細めながら見詰めてきている袁術お嬢さまとを、弁姫皇女殿下は交互に見詰め返しながら。「ふふっ」と薄ら笑い。嘲笑いをしてみせながら。
「華雄と袁術の二人は、不満のある顔でこちらを見ないで、前を向いて仕事を。わらわに言われたこと。下知を下されたことを素直に準ずり励みなさい。二人ともわかりましたか?」と告げ。更に。
「……二人は他のこと、他人のことは気にしない。気を逸らさないようにしながら。前を向いて仕事。敵を駆除しなさい。わかりましたか、二人とも? ……わらわは別にこのひとを。御方をとって食う。いや、このまま一人で独占をするような無粋な真似はしませんから。後でちゃんと二人へも褒美として、御方に触れ触ることを許可しますから」と。
弁姫殿下は、自身の主へと甘える様子を凝視して、嫉妬心を募らせ、あらわにしている戦姫二人へと苦笑を漏らしながら上から目線呟く。
「はい、はい。わかりました」と
華雄将軍は、魔王な董卓閣下から弁姫殿下への対象方の下知をもらう。頂いている訳でもないから。取り敢えずは漢帝国の臣下らしい振る舞い。
まあ、それも、太々しい様子。弁姫殿下へと不満をあらわにしながら言葉を返し。
「はぁ、あああっ! 騎馬突撃ー!」と。
華雄将軍が叫ぶ! スキル発動をおこなえば!
彼女が騎乗をする埴輪の木馬が素早く、瞬時に後方へと一歩、グッ! と、下がり。木馬が前屈み。勢いをつける姿勢へと変化! 変化をしたと思えば青白く光り輝き始め。
李儒(理樹)が「あっ!」と、驚嘆を漏らしたと同時に。
〈シュン!〉と、風を切る音が、李儒(理樹)の耳へと聞こえてきた。
〈ドーン!〉の音──!
打撃音! 衝撃音! 破壊音! と、ともにだ。
そう、彼女。華雄将軍は、弁姫殿下へと言葉を返すと、今度は李儒(理樹)の方をチラ見してポッ! 自身の強張った顔を緩め笑み。『我が君見ていてください! 自分はこれから武功を立ててみせますから!』と、言わんばかりの様子。勢いで、スキル【騎馬突撃】を単騎で発動させたのだ。
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