第217話 李儒(理樹)と内気な姫殿下【魔物】(27)

「……ん? ああ、別に構わん。構わんぞ……。俺は甘ちゃんなお前の姉貴分だから。弟を守り。庇うの、致し方がないことだから気にしなくても良い……。それに、甘ちゃんなお前が、この世界から消滅したら悲しむ奴もいるしなぁ~、と言うか。数名いるようだから。ちゃんと甘ちゃんなお前の事を守ってやんよぉ」と。


 自身の持つ、所持するグレイブ、薙刀を振るい。『ガン! ガン!』と落とし。巨人兵の身体、腰の辺りへと木馬、お馬ちゃんに騎乗した状態で、打ち、殴り、当てながら夏候惇が苦笑を浮かべながら李儒(理樹)へと呟けば。


「そうですよ。若君ー! 夏候惇の言う通りで、若君がこの世から消去してしまったら悲しむ女性(ひと)達がいますから。若君は気にしないでください」と。


 やはり夏候惇のように、木馬に騎乗をしたままの状態──。


 それも、夏候惇とは逆の、埴輪の巨人兵の左の腰、足の部分を、自身の持つ戟を持ち上げ、降ろし、叩き、殴り。切りつける、を。


「はぁ、あああっ!」、


「やぁ、あああっ!」と。


 声を大にして叫び、気勢! 覇気! をあげながら。埴輪の巨人兵へと馬上から攻撃をしていたオークの華雄将軍も「くすくす」と、微笑を漏らしながら夏候惇の言葉、台詞に続くように彼。李儒(理樹)へと。我が君、気にするな! と、鼓舞をする、だけではない。


「……我が主である董卓閣下が。君が他界。この世から消去してしまえば、本当に泣き崩れ、心の病に侵されるのではないかと思うぐらい悲しむ。悲しんでしまいそうですからね。閣下は……。先程も城門での、君への見送りでさえ、余りにも危惧、心配をされた顔。今にも泣き出しそうな顔。哀愁を身体中から閣下が漂わせていたので。私(わたくし)目が慌てて君の護衛を名乗り出て、後を追ってきたのですよ……」と。


 華雄将軍は埴輪の巨人兵から李儒(理樹)へと視線──。彼の目を、瞳を見詰めながら。余り魔王な閣下。ダークエルフの麗しい少女に心配をかけるな、遠回しに不満と諫めを告げる、だけではないようだ。オークの年頃のお姉さまはね。


 自身の頬を『ポッ』と、桜色に染め。


「私(わたくし)も君がこの世、世界から消去。いなくなれば悲しい。悲しいですから。余り心配をさせない。かけさせないでください。その方が助かりますから」と。


 華雄将軍は李儒(理樹)へと照れ恥ずかしそうに呟けば。その後は、お約束。セオリー。恋愛物語のテンプレ通りで、李儒(理樹)から、彼の甘え、独占状態の弁姫殿下のことをジロリと奥歯を噛みしめ、歯痒い。不満のある顔で睨みつける。




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