第4話
教室にもどっていると、パンッ!と風船が割れたような音が鳴った。
中に入るとなんともない。何も起きていない。なんだったんださっきの音。
「おい、さっきなんか音したよな?」
この声は。
「パンって聞こえたんだけど、なんか割れたか。」
ユウタだ。
ユウタが言うように何か張ったものが割れた、そんな乾いた音がした。
ただ、そんな音なんかしてないようだ。みんな気にも留めずに作業中だ。
まあいいか。気にしたってしょうがない。
キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
担任の先生が教室に入るなり
「よーし、とりあえず今日はここまでにしよう。今日から文化祭一週間前だから、七時までは残っていいから残る人は残って、帰る人は帰ろうか。じゃ一旦終わり。」
と言い、教室の外へ出た。
とりあえず終わりだ。やることはやってるし帰るか。
帰り支度をすませ、エナメルの斜め掛けタイプのスポーツバッグを肩にかけ自転車置き場に行った。
自転車置き場につくと僕の自転車を何人かが囲って見ていた。
その何人かが僕に気づいてこっちを向いた。なんだなんだ。
「なんかサドルが切られてるよ?」
「え、マジで。」
自転車のかごにバッグをおいてサドル見てみると確かに切られている。
中身のスポンジが切られた皮の間から見えている。最悪だ。なんで僕なんだ。
思い返して考えてみたけどなんにも出てこない。
周りの人に慌てる姿を見せるのは恥ずかしいし、サドルに持ってたスーパーの袋をかぶせて帰ることにした。
でも本当になんで切られたんだろう。漕ぐたびにシャカシャカした音にうっとおしさを感じながら考えてみた。やっぱり何にも出てこない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます