第2話

庭には二羽にわとりがいる、なんて言葉があるようにこの中庭ににわとりはいないが人がいる。キラキラしているなぁ。中庭の人たちは作業中だ。校門に置く入場門だろうか、校舎の二階にたどり着きそうなほど高く、コの字型で青の背景に流行りの顔文字や誰かの似顔絵が散りばめられている。一緒にひとつものを作る楽しさを余すことなく受け取っているからキラキラしてみえるんだな。教室では感じることが出来なかった感情がここでは感じられた。それと同時に自分がひねくれているであろうことも気づいた。だからなんだ、知るもんか。あの入場門の人たちは看板娘と呼ばせてもらおう。看板娘たちから少し離れたところにベンチがある。そこで時間をつぶすことにしよう。

「くぁ~。」

ベンチに座ってまず大きく伸びをした。クラスの一体感には反吐が出るが、この文化祭前の変な高揚感はきらいじゃない。ふと上を見る。なんてていい天気だ。透き通る青空にミニコッペパン大の雲が襲来している。あ、ぶつかった。雲同士がぶつかってミニコッペパンからコッペパンになった。それにしても気持ちがいいな。そう思ったのもつかの間、看板娘たちがこっちを見ている。しかも、手をこまねいている。これは僕が呼ばれているのか判別できない。ここで辱めを受けたくはない。僕は指を自分の顔に向け確認を取った。すると、看板娘たちは大きくうなずいた。ホッとして、誘いに乗ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る