ちりんちりん

@t-takuro

第1話

「なんでこんなにやるせないんだー!」

五年前、部活や学校のことに悩んでいた僕は心の中で叫んでいた。


「おいおい、怖い顔してんぞ?」と声をかけてきたこいつは高校から知り合ったユウタだ。ユウタは人懐っこい性格をしていて、ユウタと話すと不思議とみんな友だちになるようなクラスに一人はいるやつだ。

「そうか?気のせいじゃないかな。てか、お前なんでそんな恰好してんの?宇宙でも行く気か。」

振り向くとそこには、段ボールを白いテープで色付けして前のほうはクリアファイルをつけたような、なんちゃって宇宙帽をかぶり、その下は学校指定のジャージというコーディネートをしているユウタがいた。

「よくわかったな。俺は今から宇宙へと飛び立つのだ!」

ユウタはスーパーマンのように右腕を突き上げて走っていった。なんだ、浮かれているのかこいつは。


今日は一週間後に文化祭を控えて準備をしている。クラス全員がおそろいのTシャツを着ているこの異様な雰囲気に僕は酔いそうだ。

なんでも高二になればクラスTシャツを作っていいらしく、どのクラスも作って着ていた。クラスの中心と思っているやつらが勝手にTシャツを作って、それを着る人はTシャツ代として2500円を払っていた。クラスTシャツ買わないやつは非国民みたいな空気感に耐えきれるはずもない僕は渋々お金を出して買うことにした。

「一生一緒に2-D!!」

背中にでかでかと書かれた最高にダサい文言に僕は考えることをやめた。


特にやることがなく教室にいるのにも飽きてきた。中庭に行くことにした。

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