第13話
次の日。休みの日だ。
「さあきーくん!!映画へ!!いざ!!!」
今日はみー姉が朝からテンションが高かった。小さくなる前にした約束だ。映画を観に行くことにする。
「わかった。用意するからちょっとまってて」
こう言う時に男は楽だ。適当に着替えて財布を持てばいい。服と言えば今みー姉にはとりあえず僕のTシャツを着て貰ってるけどどうするんだろうか。
「みー姉、服はどうするの」
「買いに行こ。一緒に」
映画よりこっちの方が難易度が高そうな事に今更気付いた僕だった。
そのあとが大変だった。昨日ぶち破られたお風呂の壁から空き巣その他が入れる事に気付き、そこらへんのもので適当に塞いでからはしゃいでいるみー姉と共に家から出た時。
そこにゴムベラを持った女性が立っていて、何事か口を開こうとした瞬間どこから出したのか手に持った鰹節でみー姉が「鰹連斬!!弐式!!」と斬りつけて撃退、服屋へと来たのだった。
以上、本日のダイジェスト。
今みー姉はこれがいいかなこれがいいかなと僕の前でファッションショーを繰り広げている。
ひらひらとスカートをはためかせてすごい嬉しそうだ。
「あの頃こんな服着なかったし今になって着れるなんて怪我の功名!」
絶対に意味が違うと思うが口には出さない。きゅーとな事に変わりはないのだ。
「きーくんさっきからすごいニヤニヤしてる」
みー姉の言葉で我に返る。もしかして僕は今・・・・・・幼女を見てニヤついている不審者なのでは。
「そ、」
「そ?」
きょとんとした顔でみー姉が言ってくる。
「そんなんじゃないからー!!」
「あ、きーくん!!!」
僕はつい走り出してしまった。しまった。勢いでみー姉を置いて来てしまったぞ。
しかもここどこだろう。いつのまにか変なところに来ていた。誰もいない。
「やっと一人になったわね」
僕は身構える。そろそろこの展開もわかって来た。
「まあわかってるとは思うけど一応・・・・・・・あなたを捕まえさせてもらうわ」
そう言って出てきた女は木べらを構えた......木べら!?
「パティスリーじゃ無いのか」
「パティスリーよ」
「ゴムベラじゃない......」
ボソッと言った僕の一言が彼女の何かに触れたのか、突然彼女は笑い出した。
「いやーあんたって本当にプッ」
「もーきーくん!はぐれちゃダメでしょ!!」
最後の方は向こうからスケボーに乗って吹っ飛んできたみー姉にぶつかられて聞こえなかった。今では彼女はパンツ全開で倒れている。
「みー姉、危ないよ」
一応言っておく。
「きーくん以外どうでもいいよ」
そう言って手を差し出してくる。小さくなってから言動が乱暴と言うか僕中心になってるな......この手を取ってもいいか悪いか。
まあ、迷ってるなんて嘘だった。その証拠に僕はみー姉の手を取る。
「その服、すごい似合ってる。可愛いよ。きゅーてすと!」
「本当に!きーくんに褒められちゃった!」
二人で映画館に向かった。
愛と正義と鰹節(凍結中) M@TuR!Ka @Maturika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。愛と正義と鰹節(凍結中)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます