第3話 バーリ侵攻

 アベラルドの軍勢1万7000と、ミケラードの軍勢1万がバーリ王国南部で合流、侵攻を開始した。

 この時点ですでに半数近くの軍勢を失っているバーリ王国、アニエーロはなすすべもなく各主要拠点を占領されてしまう。

「アベラルド・・・・・・なんということを」

 アニエーロはアベラルドの反抗と国の領土を占領されてしまったことに心を痛めていた。

「陛下、ネステルニも陥落しました」

 連絡を受けた将軍がアニエーロに報告する。アニエーロは「・・・・・・そうか」とうなだれた。

「首都陥落も時間の問題だ」

 もはやこの状況を打開するすべはないと考えていた。

「将軍、まだ生きている拠点と、残存兵力は?」

「残りはアスコンカ、スパルミロ、そして首都リブレシア。残存兵はかきあつめて5000ほどかと」

「3つが包囲され孤立する前に首都の守備を固めよう。アスコンカ、スパルミロを放棄し兵をリブレシアに集中させろ。最後のあがきだ」

「承知しました。すぐに実行します」

 将軍は各所への伝令を出し、リブレシアでの部隊立て直しの準備を開始した。



――ペリアーノ共和国 首脳部

 ペリアーノ共和国ではバーリ王国での騒乱について緊急会議が開かれていた。

「バーリ王国で反乱があったとのことだが」

 首相アドリストは平和協定が破られたことにひどく怒りを覚えていた。

「バーリ王国のアベラルドがゴルガ公国のミケラードが手を組んで今や首都陥落寸前だとか」

 閣僚が状況を説明した。

「アニエーロ陛下は完全に不意をつかれたな。アベラルドもミケラードもお互いに陛下に不満があったことに気づいていなかったことが致命的だったな」

 会議においては不干渉とすべきか、この騒乱の集結のため兵力を出すか、出すならどちらにつくかなど激しいやり取りが続いた。

 そして、アドリストは最終決定を下した。

「この和を乱されたことに怒りを感じているのは我々だけではないはずだ。彼らと手を取り合い、アベラルド、ミケラードに罰を下そう」


水面下で、バーリ王国救済の準備が進もうとしていた。


つづく

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争奪 まっつん @matsu_matsu

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