第2話
ボクを市場で引き取ったのは、日本人の女の人だった。
最初は、その人が話していることが、全然わからなかったけと、だんだんわかるようになってきた。
その人は、チュウザイインという身分で、タイにいるんだそうだ。
一人暮らしでさびしくて、なんとなく出かけた市場でボク達を見かけて、ショウドウガイした、と言っていた。
でも、ショウドウガイした日の夜、日本のその人のおかあさんに電話して、自分が飼えなくなったら引き取ってほしい、と、半ば強引に、半ば泣き落しで、頼み込み、なんとか承知してもらったらしい。
そんなことより、ボクは、狭くて暗いところから、一気に明るく、それなりに広さのある部屋につれて来られて、最初はちょっと勝手がわからなかったけど、すぐに馴れて、部屋の真ん中で、おなかを上向きにして寝ころんだりしてみた。ノビノビできて、気持ちいい。
女の人は、そんなボクを見て、大きな目をもっと大きくしてビックリした後、ゲラゲラ笑っていた。
その晩、ボクの名前は、もも太に決まった。
日本の昔話の、モモタロウ、という主人公からとった名前だそうだ。
2年後、ボクは飛行機に乗っていた。
その人の予想どおり、その人が日本に帰ることになり、ボクはその人のおかあさんの家に引き取ってもらうことになった。
その人のおかあさんの家には、おとうさんと
、日本の猫が二人いるそうだ。
「もも太の方が、全然立派だから、堂々としてればいいよ」と、女の人は言っていた。
日本の猫なんかは気にしないけど、飛行機で8時間近くもかかる遠いところに行くのは、さすがにボクでも、やはり、不安だ。
新しい家や、おかあさん、おとうさんは、どんなふうなんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます