第3話働きたくない
私の父母は今でもアニメ、漫画、ゲームをやり込んでいる一般的に言うとオタクである。学生時代の小遣いやアルバイトの収入はイベント、グッズにほぼすべてお金をかけたらしい。現在アラフォーになってもその熱が学生時代からまったく冷めないのはよくも悪くも感心してしまう。でも、アニメグッズを何時間も吟味したり、イベントで高いテンションで騒いでいるのを隣りで見ている子供の気持ちを少しは考えてほしい。アラフォーの決して若いとはいえない自分の親が騒いでいる姿はかなり居た堪れない。
そんな二人の子供である私と姉。
私と姉の名前は有名な某ロボットアニメのヒロイン『レイ』と『アスカ』から。おそらく私たちが男だったら「しんじ」か「かをる」になっていただろう。姉はそんな両親の強烈な遺伝子をそのまま受け継いだ超がつくほどのオタク。壁一面にイケメンキャラクターのポスターを貼りフィギュアを何体も置き棚には漫画やゲーム機やDVDがたくさん並んでいる。大学に持っていくバックを缶バッチだらけの痛いバックにするなど回りの目を気にしないという意味では両親にそっくりだ。
それに対して私の部屋や私自身は姉とはまったく正反対。ポスターも貼ってなければフィギュアもない。漫画やゲーム機がいくつかあるくらいである。姉と比べると漫画やアニメにはそれほど熱は上げていない。本当に血が繋がっているのかと何回疑ったかわからない。
たしかにアニメや漫画が好きだし、面白いものもある。でも、姉のようにキャラクターに四六時中妄想全開にはならないしなれない。よくあそこまで架空のキャラクターに夢見ることができると悪い意味で感心してしまう。そんな家族に囲まれているから知りたくもないのにオタクの専門用語や知識が嫌でも頭に入ってしまっている。おそらく普通の一般人よりも確実に。
家族は私を含めかなりマイペース。マイペースすぎるほど。
でも、高校三年生の初秋に受験や将来のことに関してまったく触れてこないのは親としてどうなんだろう。口うるさく勝手に決められるよりはいいけど、今でもアニメや漫画の話しかしないのは我が親ながら幼すぎる。
私のことを信頼してるのか。それとも放任主義なのか。
おそらく後者だろう。
一応私の成績はそれほど悪くない。勉強やテストなんてめんどくさいことこの上ないが赤点のほうが追試や居残り、下手したら留年など後々の面倒が増える。
私は基本楽がしたい。そのための多少の面倒は我慢できる。
『苦は楽の種』は私の座右の銘である。
「はぁ~、働きたくない」
もし、ニートが認められている社会だったらニートになりたい。毎日が日曜日で働かなくても三食自動的に食べられる。できることならずっとグータラしていたい。
それが私の本音。
でもこんな情けない本音絶対誰にも言うつもりはない。まさか本気でニートになろうとは思っていない。そこまで頭の中がすっからかんではない。
進路相談で担任から私の成績なら大学の推薦が取れると教えてくれた。今後の計画は大学に行きながら公務員の勉強でもしたいと考えている。
明日にでも家族に話そう。学費のこともあるので両親の了承を得なければならない。社会人になるまでは親のスネをかじらなければいけないだろう。
とりあえず、今日は寝よう。時計をみたらまだ6時半。そろそろ父親が帰ってくる。
私はどんなに早く就寝しようがすぐに眠ることができる。私は目を閉じて眠りについた。
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