邪を払う模様

 凛堂は準備があるからと言い、小像を持って部屋を後にした。

 しばらくそこで待ってくれと、言われたので男は静かに待っていた。

 寺で待ってた時は落ち着かなかったが、今はとても穏やかな気持ちで待つことが出来た。

 数十分待っただろうか、凛堂は男に、準備が出来たのできて下さいと、呼ばれた。

 凛堂の案内で庭に行った。

 その庭はとても広かった。その一角になにやら大きな模様を地面に書いており、その中心にあの像を置いていた。

 男が不思儀そうに見ていると、凛堂は楽しそうに話だした。

「これはですね、〈旧き印〉と呼ばれる特殊な模様なのですよ。昔、邪悪なる神を払う際に使われたと言われてまして、その邪神の一柱があの眼球の神とも言われているのですよ。それで…」

 凛堂は楽しそうに話ているが、男からしたらそんなものはどうでもよかった。早くあの像をなんとかしてもらいたかったからである。

 それに凛堂も気付いたのか説明をやめ、男に語りかけた。

「今からこの印を発動させるための呪文を唱えるので少し後ろに下がって下さい。あと、結構な衝撃もありますのでそれにも注意を」

 そう言うと凛堂はブツブツと何かを唱え始めた。

 儀式が始まったのだ。男はそう思いすぐ後ろに下がった。

 呪文を唱え始めてからしばらくすると、だんだん模様が光始めたような気がしてきた。

 そう思っていたら突然、光が膨張し爆発した。

 あたりは一瞬にし光に包まれ、男は目を瞑り、尻もちをついた。

 しばらく目を閉じていると、凛堂に呼ばれたので目を開けることにした。

「大丈夫ですか。あまりに急でしたので驚きましたか?」

 笑いながら男にそう聞いた。

「安心して下さい。像はもうあの通りに」

 凛堂がそう言い、指を指した方を見て見るとそこに描いてあった、模様はなく中心にあった像は粉々に跡形もなく崩れていた。

「なんとかあれでいけたようですね。壊してしまい少々もったいない気もしますが…仕方がないですね」

 凛堂の言葉は男の耳に入ってなかった。

 あんなことで、この問題が解決した。それより、この凛堂という男が何をしたのかそればかりかが気になっていたのた。

「まあ、何にせよあり得ないことは簡単に起きるものですよ。そしてこういうものは案外あっさりと終わってしまうものなのです。もうこれで悪夢を見ることもないでしょう。それでも心配ならお守りでももって帰りますか?」

 凛堂はそう言い、男に笑いかけた。

「一体この像はなんなのでしょうか…」

 男は思わずそう聞いた。

 それに凛堂はこう答えた。

「さあね、なにも分かりません。何かに呪われたものということ以外はね」

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不気味な小像 坂口航 @K1a3r13f3b4h3k7d2k3d2

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