犯人発見とまさかの最後
ツイートにタグ付けされていた位置情報は握手会の会場からそんなに遠くなかった。
会場付近にいるオタクにバレないように細心の注意を払いながら急いでその場所へ向かった。
「ここか。」
「そうみたいね。」
その場所は古ぼけた雑居ビルだった。
入り口は錆びていて、扉を開くのに一苦労したが、何とか開くことが出来た。
扉を開けた先には階段がある。埃っぽい状況の中、その階段を登ることにした。
「どこに誘拐犯がいるか分からないな。」
「一つ一つ部屋を開けて確かめるしかなさそうだよね。」
そんな会話をしつつ階段を登っていく。
階段を2階分登った先に明かりのついた部屋があった。明らかにここが怪しい。
「絶対ここじゃん。ここに犯人がいるじゃん。焦ってここまで来たけど犯人と戦う術がない...。どうしよう...。」
「そんなこと言わないでよ。私が信頼したひとなんだから。私のため、いや、私たち道玄坂46のために頑張って犯人を捕まえてよね。」
いとはるは満面の笑みで俺にそう言った。その笑顔がめっちゃ可愛かった。この子のためになら死ねる、そこまで考えた。
俺はいとはるに励まされたおかげで勇気が出てきた。やってやる。絶対に犯人を捕まえてやる。
俺は思い切ってその部屋の扉を開けた。
「はい、お疲れ様でしたー。以上でスペシャルイベントは終了でーす。」
「......は?どういうこと?」
「騙してごめんね。これはスペシャルイベントの1つで、推しメンと一緒に行動するっていうものなの。」
俺はそう言われて今までの出来事を整理してみることにした。確かに警察が行動してるって言ってたのに全然警察と協力することもなかったし、そもそも犯人探しに制限時間が設けられていたのもおかしなことだった。
「なるほどね。すっかり騙されてたよ。」
「私との犯人探しは楽しめたかな?これ一応私が考えたやつなんだ。」
「まじか!何か考えた割には現実で起こりそうなことだったし、スリルがあって楽しかったよ!」
「喜んでくれたみたいで良かった!ありがとう!」
「マシでいとはると長い時間一緒にいられたのは一生の思い出になった!こちらこそありがとう!」
ここでスタッフがそろそろ時間なので握手会の会場に戻るように言ってきた。
いとはるはこのスペシャルイベントを記念してサイン入りのステッカーを俺にくれて、そして最後にこう言った。
「また握手会で待ってます。」
俺はいとはるがアイドルを卒業するまで、いとはるのオタクをやろうと決めのだった。
アイドルウォーズ 月夜 @takkyubu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます