4月7日①

 ダル重い感覚で目を開ける。

 鬱屈とした気分。

 最悪の目覚めな土曜日の昼前。

 折角の休みなのに午前中を無駄にした嫌な気持ちになる。


 昨日はなかなか寝付けず、結局寝付けたのは午前2時。


 日々の疲れは取れておらず、

 何もする気が起きない。


 それは、昨日が関係している。




 相方がこの時期にインフルになったのだ。

 そのお陰で、今日はリビングのソファで寝た。

 首が痛い。


 そりゃソファで寝たら熟睡出来んわ!

 無理な体勢で寝たから体の節々が痛いわ!

 もう若かりし頃と違うのだ!


 ちきしょう!

 インフルの時期をかからず乗り切ったと思ったのに!

 お願いだから伝染うつさないでくれよ!

 修羅場中で仕事休めないんだからな!




 皆さん。

 お元気ですか!

 私は元気です!

 何故かというと、私は寝れば大抵の事はどうでも良くなるタイプの人間だからです!!


 トコロテン方式記憶脳は、こんな所で役に立ちます!


 折れた心はいつのまにかくっついてましたよー!




 若干嘘が混ざってます。

 すみません。


 今現在元気なのは本当です。

 でも、目覚めた直後は昨日のダメージを引きずってて、本当に落ち込んでました。


 ただ。

 目覚めのコーヒー(砂糖ミルクたっぷり)を飲みつつ、考えてました。


 首が痛ェ……ではなく。

 企業の求める作品像について。


 同業者である企業は、

 目の覚めるようなスペクタクルが見たいのだ。

 自分の知ってる範囲の話を見せられるのではなく、

 見たこともないような、思いつきもしなかった世界が見たいのだ。


 日常ほのぼのIT教科書ではない。


 それこそ、漫画化、アニメ化、実写映画化しても遜色ない、細部まで練り込まれた新しい世界観。

 見ててドキドキハラハラ、見終わって面白かったー! と叫べるエンターテイメント。


 だから、実は専門知識は二の次なのだ。


 必要ではある。

 でも、重要ではない。

 重要なのは、『サイバーセキュリティ』をコンセプトとした想像を絶するエンターテイメントである事。


 のめり込める世界観。

 展開が読めないストーリー。

 仲間と協力して強大な敵に打ち勝つ爽快感。

 そこに『サイバーセキュリティ』要素が散りばめられ、勉強にもなる素晴らしい作品。


 ハードル、バカ高ェ。




 日常ほのぼのIT教科書が求められていないと感じる理由はもう1つ。


 各企業はこう思っているのだ。

『日常ほのぼのIT教科書は自分達にも作れる』

 と。


 そりゃそうだ。

 実際に今実績のある小説家に、ネタを渡して監修として参加して書く事が出来るからだ。


 なので、

 企業が求めているのは1つ。


『自分達では作れない作品』




 こんな話を知ってるだろうか?




 むかーし昔。

 自分達の親世代を虜にしたアニメ。


『マッハGoGoGo』


 アメリカで実写映画化もされた作品。

 良かったらググってね。


 簡単に言うとこのアニメ、車レースの話。


 ただ、崖を登ったり、空飛んだり、時には相手の車に邪魔されたりするのを、物理法則ガン無視して華麗にかわしつつ、車として有り得ない動きをしてレースに勝つ話である。


 このアニメの逸話。


 当初の製作には1らしい。


 専門家がいない為、

 車としては有り得ない動きを表現する事が出来、

 結果子供達にウケた、という事らしい。


 この逸話のソース(※)を調べる為ググってみたが見つからなかった。

 私も昔もテレビの1シーンで見ただけなので、もしかしたら本当の話ではないのかもしれない。


 この際ソースは重要ではない。


 私が共感したのはココだ。


 


 そう。

 専門家だと、

『コレは有り得ない』

『コレは出来ない』

『コレは不可能』

 と、現実の制限をのだ。


 その為、纏まってはいるが面白みのない話になってしまう。


 違う。

 そうじゃない。

 企業が求めているのは

 なのだ。


『そうきたか! 現実は有り得ないけど、表現としてはアリだよね!』


 と、手を叩きながら自分達も楽しめるものなのだ。




 つまり、同業者の私には一番作りにくい作品を、企業は求めているという事だ。




 昨日は、その事に気付いて心が折れたのである。


 でも、気づけただけで重畳ちょうじょう(※)だ。



 まだ先はある。

 チャンスの神様は、タックルして捕まえたままだ。




 今まで貰った貴重なアドバイス

 そして、

 今まで降ってきたネタ

 ついでに企業が求める作品像

 これを融合させて、エンターテイメントを作り出そう。

 できるかどうかは別にして。


 そう、考え直したのである。


 豆腐メンタルで打たれ弱いが

 復活が早いのが取り柄である。


 いや、昔ブラック社畜としてグズグズにすり潰された結果、体得したスキルである。




 まだ終わってない。


 よし、頑張ろう。




 締切まで、あと約5ヶ月。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(企業たちがここを見ない事を良いことに)言わせてもらえれば。


 企業が求めているモノがアレの時点で、企業が求めている事と、当初の目的、そして、一般市民が見たいと思っているモノが、既に乖離かいりしている。


 企業にとっては、通信に暗号化されてるのとされてないのがあるのがである。

 企業がSSL証明書をサイトに適用して存在証明する事がである。してないのは邪道だとすら思ってる。

 サイトはwebサーバ上に配置され、個人は端末を使って、サーバ上のサイトを見ている事も、である。

 サイトの国籍と、それが載ったサーバーの国籍が違う事なんてな事の方が多いからだ。


 しかし、今スマホしか使わない世代が、その事をどれだけ知ってるのであろうか?


 知らなくて済むような作りにしたのは、誰でもないサイバーセキュリティに関わる企業たちだ。


 企業は知ってるのだろうか?


 最近の子供達はURL事を。


 恐らく知らないのではないか。

 私もその事実を知った時にビックリした。


 企業は、を見たいと思ってない。


 しかし、一般市民は本当にそうだろうか?




 このエッセイを上げた時、

『専門用語や知識の論述風フィクションはいかがか』と、アドバイスを貰った。

 私も、それは凄く良いと思った。

 IT技術を知らない人達に、IT技術を面白いおかしく(?)知ってもらうには、それはとても良いと思った。


 ご紹介頂いた『なれる! SE』も、IT技術やSEの仕事を知らない人が、『そうだったんだ!』となったから、売れたのではないだろうか。

(勿論、作者さんの腕もあるが)


 当初の目的である『サイバーセキュリティに興味がない人に、興味を持ってもらう為』のモノとは、

 IT技術を知らない人たちに、

『へぇ! 自分たちが使ってるコレって、実はそうなってたんだ!』

『なんほど! だからセキュリティって大事なんだね!』

『だからこういう事しちゃいけないのか!』

 と思ってもらう事なのではないだろうか?


 一般市民には、そもそも知って欲しい。


 でも。


 企業はが見たい。


 そんな乖離かいりが生まれていると、私は感じた。




 なんて理不尽!

 なんて板挟み!

 どうすりゃいいんだ!

 どうしろってんだ!!

 無理だよ無理無理!

 どっちの要望を含んだモノなんて、趣味でしか書いてない私には無理だよ!!


 どんだけ理不尽要求だい?!

 今まで色んなワガママユーザーと会ってきたけど、こんな高いハードル掲げられた事ないよ!


 助けて小説の女神様ッ!!!




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※ソース

 情報源、という意味。

 某掲示板用語らしい。私はほのぼのまとめサイトで知った。

 プログラムコードの事を、ソース、ソースコードとも言うので当初の意味を勘違いしていた。『その情報のソースは?』という言葉を『その情報の成り立ちは?』と聞いてるのかと思って、不思議な事を聞くもんだと思ったものだ。

 ウスターとか中濃とかは関係ないらしい。


重畳ちょうじょう

 この上もなく満足であるという事。

 重い畳なのに何故満足なのだろうか?

 昔は重い畳が喜ばれたのか。

 それとも湿気を吸って重くなっているのだろうか?

 私は軽い畳の方がいい。持ち上げるのが大変だからだ。

 そして、畳を持ち上げると、自分が生まれた頃の新聞紙が敷かれていてついつい見てしまう、というあるあるは、どの世代まで通用するのだろうか。

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