「みちびき」正式運用開始

 11/1から、準天頂衛星「みちびき」の正式運用が始まりました。4月の予定が繰り延べされていたので少しハラハラしていましたが、これで誰でも「みちびき」を利用できます。


 あちこちで「日本版GPS」と言っているのも正しくありません。「みちびき」だけでは、測位ができないからです。前にも書きましたが、あくまで補完、補助、補強なのです。

「日本専用GPSはウソ」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054886014211


 運用開始といっても、利用には「対応したチップ」が必要になります。実証実験では、ソニー製の対応チップを搭載した機器が使用されていました。最新のスマートフォンなどには対応チップを搭載したものがあるそうです。使えるかどうかは、わかりませんが。


 それから、「センチメートル単位で位置がわかる」というのも、確かにその通りなのですが(センチメータ級測位補強サービスと言います)、そのためには電子基準点の情報が必要になります。日本国内は電子基準点が整備されているので問題ないのですが、北方領土などは電子基準点がないので利用できません。この辺は政治が絡んでくるので、今後どうなるかはわかりませんが、内閣府は「整備後に精度を満たす範囲」に北方領土を含めていますね。


 前にも書きましたが、ロシア、中国、EUは、GPSとは異なる測位システムを構築しつつあります。測位というのは、国家の安全保障に直結する技術だからです。もし、GPSしかなければ、アメリカの都合で恣意的にGPSの精度を落とすなんてことが起きるかもしれません。というか、そういった報告はありますね。特にロシア、中国はそれでは困るわけです。でも、ロシアの測位システム(GLONASS)もこっそり仕様変更していたりするので、他人アメリカのことは言えません。


 本当は、日本も独自の測位システムを構築すべきとは思いますが、たった四機の衛星を打ち上げるだけでもこんなに時間が掛かったんですから、無理でしょうねぇ。

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