アメリカ宇宙軍?

 アメリカのトランプ大統領が「宇宙軍」の設立を表明し、ペンス副大統領も2020年までに、なんて発表しています。

 宇宙軍といっても、私たちがイメージするような「宇宙に戦艦浮かべてドンパチ」するような軍隊とはちょっと違うようです。要するに、アメリカの衛星を一元管理する軍隊を作るというもののようです。今のところは。

 実現性は、といえば少し懐疑的ですね。新たに軍を作るわけですから、人も物も必要なわけで、その予算をどうするのか、果たして議会は通るのか。難しいところです。アメリカはかつて、スター・ウォーズ構想なんてのも打ち出していましたが、結局、尻つぼみになった苦い経験もありますし、慎重に事を進めていくとは思います。


 余談ですが、みんな大好き銀河英雄伝説のアニメで描かれるような、艦隊が密集して戦うなんてことは、宇宙戦艦が実現したとしてもありえないでしょう。銀英伝の中でも描写されていたように、破損した味方の艦艇で被害が出てしまいます。戦艦同士は数キロ~数十キロ離れた形で艦隊を組むことになるでしょうね。


 さて、トランプ大統領が、宇宙軍なんて言い出した背景には、やはり中国・ロシアの宇宙戦略があるのでしょう。特に中国は、地上から衛星を破壊するミサイル実験に成功していますから、脅威としては大きい。おまけにデブリ増産しやがりましたからね。

 そうした衛星破壊兵器の他にも、宇宙の軍事利用には様々なアイディアが出されています。たとえば即応型偵察衛星。衛星ってのは軌道が決まっているので、偵察衛星でも見たい場所を見たい時間に観察できるかどうかは分かりません。観測のために軌道を変えれば、その変化が観測されてしまうリスクもあります。そこで、何かが始まる、あるいは始まる予兆があった時点でロケットを打ち上げ、低軌道を短期間だけ周回する偵察衛星を飛ばそうというのが、即応型偵察衛星です。言ってみれば、使い捨ての偵察衛星です。


 宇宙でドンパチは起きない可能性は高いでしょうが、宇宙を舞台にした情報戦はもう始まっている、それを強化するための宇宙軍構想と考えれば腑に落ちます。(※あくまで個人的考えです) 


 翻って日本でも、宇宙関係を一元に管轄する「宇宙省」構想が一部で取り上げられています。こちらは是非進めていただきたい。というのも、現在の宇宙開発案件では、各省庁が綱の引き合いをやっていたりして、なかなか前に進まないケースがあるのです。代表的なものが準天頂衛星「みちびき」ですね。宇宙省ができれば、日本の宇宙開発ももっとスピーディーなる、かも知れません。

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