　アメリカで痛ましい航空機事故が起きてしまいました。米NTSB（国家運輸安全委員会）の暫定的な報告によれば、エンジン前方のファンブレードが金属疲労により破損し、その部品が機体にぶつかって窓が破損、乗客が吸い出されそうになって重傷を負い死亡してしまったとのこと。

　ファンブレードは、エンジンに空気を送り込むための巨大な羽根です。ファンブレードの途中で折れていたのか、それともファンブレードを固定するディスクと呼ばれる部品が破損したのかは不明ですが、本来あってはならない事故です。万が一、ファンブレードが破損しても、機体までぶつからないようにファンカバーが設計されているのですから。

　現在、ファンブレードは金属で作られていますが、金属と同じくらいの強度でより軽い複合材料（CFRP）で作ろうと研究開発が進んでいます。ファンブレードをCFRPにすることでファンを覆うカバーも複合材料にすることが可能で、そうなれば金属では難しい吸音構造が容易になるかもしれません。

　今回の事故により、ファンのCFRP化が加速するかもしれませんし、ファンカバーの形状や機能の見直しが行われるかも知れません。しかし、それは少し時間がかかるので、応急的な対応として、整備項目や検査方法の見直しが行われることになるでしょう。そうなれば、大手のエアラインはともかくLCCには厳し事になるかも。