第3話 運命の人ですか?




「そういえば、北野と倉敷ってどんな関係なんだ?」

こんな質問を中学時代何度もされた。



それはそうだろう、いつも2人で帰ったり、お互いの家に行くこともしばしばあったのだ。例えお互いのどちらかに恋人がいようとも・・・・・・


あ、俺彼女出来たことないんだった・・・テヘペロ☆



もともと春香は、俺が小学校に入学する直前に隣の家に引っ越してきており、母子家庭だった倉敷家と仲が良くなったのも、春香の母親と俺の母親が高校の同級生だったからである。



まあ、俺の父親は海外に単身赴任してるし、俺も母子家庭となんら、変わりはないのだが。


そんな成り行きで俺と春香は幼年期から一緒にいることが多くなった。



中学時代から夜勤で病院に務めている母親のこともあり、また、陽(はる)のこともあり、春香が家に来て夜ご飯を作って一緒に食べることも多くあったという事だ。



俺の話はこれくらいにして、時はふれあい合宿の日の朝・・・



「兄ちゃん、起きなきゃ遅刻するよー!早く起きないと部屋にあるラノベ1冊ずつシュレッターかけるんだから!」



「ぉわぁああああああ!なんてこと言い出すんだ陽!お前、ラノベをシュレッターにかけるなんて冗談であっても神が許そうが俺は許さないぞ!」



そう、ラノベは神が授けし極上の娯楽!

特に彼女願望があった俺は、最強のラブコメ、冴え〇や〇ガイルなどが好きなのだ!



跳ね起きた俺を見て陽(はる)は満足そうに微笑む



ってか、なんてこと言い出すの、うちの妹は!

将来が怖い・・・!将来は俺が養っていかなければ!



WARNING!! ここにやましい気持ちはありません。



「分かったら、早く朝ご飯食べなー。兄ちゃん今日から泊まりでしょ?」



「そ、そうか。今日から3日間も陽(はる)に会えないのか・・・」



妹と離れて嬉しいと言えば嘘となる。世間一般の兄弟と比べて、某妹系ラノベ並に仲のいい北野兄弟は3日間も会えないと死んでしまうのだ!



起きた俺は、ほんの10分で支度を済ませ、靴を履いた。



「ほんじゃ、行ってくるぞ。ご飯は母さんいない時は春香の所にお邪魔して食べさせてもらえな。」



「分かってるよー。お兄ちゃん、陽(はる)と会えなくて寂しいかもだけど陽(はる)も同じだから!帰ってきたら春香ちゃんと3人で外食行こうね!」



発言がいちいちかわいいよ、我が妹・・・。


――――――――――――――――――――――――


北学園までは電車の乗り換えが1回あり、約30分で着く。そこから校舎まで長い坂道を登らなければならない…



校舎に着いて森本のホームルームが終わるとバスへの乗車が始まった。



校舎の駐車場にバスが各クラス1台分ずつ停車しており、着いた順にどんどんバスへ乗車していく。



…どうやら席などは特に決まっていないようだ。




真ん中の方の窓際の席をとった俺はバスの出発を待ちわびる…



「あの…隣いいかな?」



そこには、美少女という言葉だけでは足りないくらいに可愛い女の子がいた…。



「ん?、あぁ、いいけど?」



ドキッとした動揺を必死に隠しながら返事をした。



「ありがとう。私の名前は橘莉奈(たちばなりな)っていうの、よろしくね、北野くん!」



え?今なんて?俺の名前言わなかったか???

なんでこんな可愛い子に名前覚えられてんの???



頭の中にたくさんのクエスチョンマークが浮かぶ…



「え?なんで名前知ってんの?ちょっとびっくりしたわ。」



彼女は慌てて言った



「あ、ごめん!私灘中で水泳部のマネージャーしてたから北野くんのこと知ってたんだ。北野くんこの市内でも有名だったし、それにあんなこともあったしね…」



なるほど、灘中はそんなに部が強くはないが、確かマネージャーがいたな。


あんなこととは俺が肘を故障して、表舞台から退いたことである。

自慢ではないが、俺は中1から3年連続で市内大会を優勝していてそこそこ顔がしれているのだった。



「あ、そうなんだ、よろしくね、橘さん。灘中でマネージャーやってたんだね。灘中に友達居なかったから分かんなかったよ、ごめん!」



「いややや、気にしなくていいよ!なんか一方的に名前知ってて気持ち悪いよね。まさか北野くんとまた会えると思ってなかったからクラス名簿見た時はびっくりしたよ!」



そんなこんなで橘莉奈と話が盛り上がり、中学の話や、受験の話などをしながらバスの中を過ごした。



それにしても、橘莉奈はなんと可愛いのか!

時折見せてるれる笑顔なんて言葉じゃ足りないくらいに可愛い!

こんなに可愛い笑顔を見たことがない!


あぁぁぁ!もっと見せて!その笑顔!



俺と橘は波長が合うのか、話は途切れることなく進んでいく…



橘が笑顔で笑い涙を拭いながら言った、



「あははっ、北野くんってほんっとにおもしろいね!もっとクールだと思ってた!」



「あー、そうだよな、大会会場でしか会うことなかったからな。オフの時は結構喋る方だと思うよ。」



すると、橘は今日1番の笑顔で、



「そうなんだ!大会以外での北野くんのこと知れて嬉しいかも!北高入って良かった〜。」



あ、あざといっっっっ!!!

やばくないですかやばくないですか、なんなんですかこの笑顔……



殺人的な笑顔の前に俺はこう思うのだった…




俺は、橘莉奈に惚れました…………。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る