笑いの極意

「師匠、笑いの極意をお教えください」

「うむ。まず第一に、笑いを舐めてはいけない」

「私もそう思います、師匠」

「笑いを舐めるものは、笑いに舐められる」

「至言です、師匠」

「笑われるのと、笑わせるのでは大違いなのだ。わかるな?」

「わかります、師匠」

「次に、どんなギャグにも、この世の真理が込められてなければいけない」

「はい、師匠」

「なぜだかわかるか?」

「いいえ、わかりませぬ。師匠」

「この、うつけ者めが!」

「お恥ずかしゅうございます、師匠」

「教えて欲しいか?」

「お教えください、師匠」

「うむ。ギャグもまた真なりと言うてな……」

「…………」

「どうした? 遠慮せずに笑うがいい」

「師匠、あまり面白くありませんでした」

「そうか。……笑いとは難しいものじゃのう」

「そのようですね、師匠(失笑)」



    愛の極意


「師匠、愛の極意をお教えください」

「うむ。まず第一に、愛を舐めてはいけない」

「私もそう思います、師匠」

「愛を舐めるものは、愛に舐められる」

「至言です、師匠」

「もちろん、愛ゆえに舐めるのは素晴らしいことだ。わかるな?」

「わかります、師匠」

「ところで、世の中には同性を愛してしまう者もおるな」

「はい、師匠」

「実はわしの長年の友人、もちろん男じゃが、そいつがどうやらわしに恋愛感情を抱いてるようなのじゃ」

「本当ですか?」

「うむ。ホモ間違いない」

「…………」

「どうした? 遠慮せずに笑うがいい」

「師匠、あまり面白くありませんでした」

「そうか。……笑いとは難しいものじゃのう」

「そのようですね、師匠(失笑)」



    極意の極意


「師匠、極意の極意をお教えください」

「うむ。まず第一に、極意を舐めてはいけない」

「私もそう思います、師匠」

「極意を舐めるものは、極意に舐められる」

「至言です、師匠」

「つまり極意には舌があるということじゃ。わかるな?」

「はい、師匠」

「極意に舐められると、どんな感じがするかわかるか?」

「いいえ、わかりませぬ。師匠」

「この、うつけ者めが!」

「お恥ずかしゅうございます、師匠」

「教えて欲しいか?」

「お教えください、師匠」

「うむ。すごくいい感じがするのじゃ。す『極意』い感じがな」

「…………」

「どうした? 遠慮せずに笑うがいい」

「師匠、最悪です」

「そうか。……笑いとは難しいものじゃのう」

「そのようですね(嘲笑)」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る