第4話換金って素晴らしい!

 しかし、今のなづなにはまだ分かっていなかった。世界規模の大会が予選なしで行われるという恐怖を......


 なづなは、ふと思い出したかのローブのポケットに手を入れ、スライムを倒した時に出た石を取り出す。


 「あのー、この石ってなんですか?」


 手のひらに石を載せ、受付のお姉さんに見せた。


 「あーあ、これは魔石ですね」


 ――魔石!?なにそれカッコいい!――


 「魔石って何に使うんですか?」


 「魔石はですね換金したりコレクションしたりするのが主な使い道ですね」


 なづなはという言葉に敏感に反応し、今、自分の手元には現金がまったく無いことに気付いた。


 ――これはもう換金以外の選択肢はない!――


 「早速ですけど換金してください」


 「あ、はい。わかりました」


 恐らく石を置くためであろう受け皿を出されたのでなづなはポケットに残っていた石も全部出し、受け皿の上に置いた。


 「それでは少々お待ちください」


 そう言い残し受付のお姉さんはまた、奥の方へと姿を消していった。




 しばらく待つと受付のお姉さんの姿が見えた。

 受付のお姉さんの手にはさっきの受け皿の上に石ではなく、紙切れ一枚と三枚のコインとそれより一回り大きなコインが一枚置かれていた。


 ――換金って素晴らしい!――


 「えーと、が十三個ですので千三百エナですね」


 ――魔石の名前適当すぎ!――


 なづなは受け渡されたお金を確かに受け取りローブのポケットに大事にしまった。身体にお金の重さが伝わった。

 どうやらこの異世界ではお金の単位をではなくと表すらしい。


 ――ぐぅ~~――


 突然なづなの腹の音がギルドに響いた。しかし、幸いにも冒険者達は騒いでいて気づいていないようだった。良かった。と内心ほっとする。腹の音が誰かに聞かれるなんて恥ずかしい以外のなにものでもない。増しては他人だ、仲の良い友達になら聞かれてもオッケーだけど。腹の音は[なるべくなら聞かれたくない身体の音ランキング]のTOP3に入るだろう。

 ふと、時間が気になり、時計を見て気づいたがもう十九時三十分だった。

 元いた世界、日本では夕食を食べ始めている頃だっこのた。異世界にきて数時間、ましてはこのにきて数十分、村のことなんて全く知らない。わからないのなら頼ってみるしかない。だってこの村の人は優しいのだから。

 なづな受付のお姉さんに美味しくて安いレストランの場所を聞くことにした。


 「あのーこの村に美味しくて安いレストランってありますか?」


 聞いてから思ったがそんな都合のいいレストランなんてある訳ないと思った。


 「ありますよ」


 ――あるんかーい!――


 「ごほんっ」


 なづなは咳払いをしレストランの場所を聞いた。


 「それってどこにあるんですか?」


 「このギルドをでてすぐの正面の建物です」


 「ありがとうございます」


 ――ぐぅ~~――


 また、腹の音がなった。なづなの腹が限界に達しているので早速レストランに行にくことにした。ちゃんと受付のお姉さんに礼を言ってね。


 「ありがとうございました。それじゃぁちょっと行ってきますね」


 なづなは受付のお姉さんに向かって一礼した。


 「はい。またのご利用お待ちしております」


 受付のお姉さんは手を前で組、なづなに向かって丁寧に一礼してみせた。

 ギルドの扉を開けると本当にレストランがあった。

 見た目はめっちゃ豪華って感じでもなくめっちゃ古汚いって感じもなかった。至って普通のレストランだった。


 ――ビギナーレストラン――


 お店の前にはビギナーレストランと書いてある看板があった。


 ――レストランの名前にもって入ってるし――


 ――ガチャ――


 なづなはレストランの扉を開けお店の中に入った。ドキドキと心臓の音が鳴る。レストランの扉を開け内装を見渡しても至って普通のレストランだった。


 「いらっしゃいませ。何名様でございますか?」


 「一人です」


 「カウンター席へご案内します」


 めちゃめちゃダンディーな声で若めの男の人が出迎えてくれた。しかもそこそこイケメンだし。

 なづなはカウンター席まで案内された。


 「ご注文がお決まり次第お呼びください」


 「あ、はい。わかりました」


 もうなづなの腹は限界だ。さっさとお品書きに目を通し注文することにした。


 「えーと、オムライスが......六百エナ!?安すぎ!」


 このお品書きに載っている写真からでもわかるこのThe美味しいですよ感。これ絶対美味しいやつだ。


 「あとはーデザートにパンケーキを......四百エナ!?安い!」


 このお品書きにもう一回目を通すとすべての商品が安かった。


 ――チーン――


 注文するものが決まったので早速テーブルの上に置いてあるベルを鳴らした。


 「ご注文はお決まりでしょうか?」


 「はい。えーと、オムライス一つとパンケーキ一つください」


 「かしこまりました。それでは少々お待ちください」




 しばらく待つと注文したオムライスとパンケーキとお冷がお盆の上に載って届いた。


 「お待たせしました。こちらオムライスとパンケーキでございます」


 今、めちゃめちゃ美味しそうなオムライスとパンケーキが届いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る