第3話私、出場することになりました!

 「あれ?私、なんかまずい事言った?」


 その時一人のガタイが良くて背の高い冒険者が真顔でこちらの方に歩いてくるのが見えた。


 ――やばいやばいどうしよう――


 そんな思考もつかの間ガタイが良くて背の高い冒険者の手がなづなの肩に置かれた。


 「ひぃっ」


 ――カツアゲとかされるんじゃどうしよう――


 「なんだい嬢ちゃんビギナーか?」


 「は、はい。そうです」


 問い掛けに対して恐る恐る答えるなづなに、予想外の答えが返ってきた。


 「そうかビギナーか......ようこそ!ビギナー村へ!!」


 ガタイが良くて背の高い冒険者はめいいっぱいに両手を広げ笑顔になっていた。


 「はへぇ?」


 「そうかビギナーか!」「可愛らしいビギナーきたっー!」「ビギナー万歳!」「ひゃっほぉー!」


 ――この人たちめっちゃいい人や!!――


 思わず変な声が出てしまったが、この冒険者達はどうやら悪い人ではなさそうだ。なづなは心の中で良かったと一安心する。

 安心した途端天使さんに言われたこと思い出し、受付の場所を聞くことにしたなづな。


 「あのー冒険者登録したいんですけど受付ってどこにありますか?」

 

 「おう、それならここを真っ直ぐ行ったあの嬢ちゃんのとこさ」


 わかりやすく説明してくれるガタイが良くて背の高い冒険者。かっこいい。


 「あ、ありがとうございます!」


 なづなは深々と一礼した。


 「困った時はお互い様だぜ!」


 右手でグッチョブの形を作り歯を輝かせているガタイが良くて背の高い冒険者。かっこいい。


 ――それにしてもさっきの言葉どこかで聞いたことあるような......まっいっか――


 ガタイが良くて背の高い冒険者に言われたとうりに受付のお姉さんのところに向かうことにした。

 受付のお姉さんの前に立ち深呼吸する。


 「あのー?」


 「冒険者登録ですか?」


 「あ、はい。そうです」


 「それでは少々お待ちください」


 ――なんて出来る受付のお姉さんなんだ。あれはベテランだな――


 受付のお姉さんは奥の方へと姿を消していった。


 「なにがでてくるだろ?気になるな」



 しばらく待つと受付のお姉さんの姿が見えた。その手には大きな機械の姿があった。


 「よいしょっと」


 受付のお姉さんはちょっとひと休みしなづなの方に顔を向け機械の説明を始めた。


 「それではこの石版に手を置いてください」


 「はい。わかりました」


 石版に手を置くこと数秒、なづなの周りに変な光が出現し、機械が紙に鉛筆でカシャカシャとなにかを映し出した。


 「この機械めっちゃ便利ですね。これは魔法ですか?」


 「違いますよ」


 ――なんか変な光出てるのに魔法じゃないの!?――


 「マジですか!」


 なんて高度に発達した異世界なんだ。内心そう思い変な驚き方をしてしまった。


 ――まぁ高度に発達した科学は魔法と区別が付かないって言うしね――


 書き終えた紙を手に取った受付のお姉さんの顔は驚きでいっぱいだった。


 「こ、これはすごいです」


 「何が凄いんですか?教えてください」


 そう言うと受付のお姉さんは紙をなづなの方に向け職業欄のところに人差し指を置きこう言った。


 「貴女の職業魔女なんです」


 ――あっそれ転生する時に私が選んだ職業だ。この世界では魔女って職業凄いやつなのかな?一応とぼけておこう――


 「はい。それがどうかしましたか」


 「魔女っていう職業は数百年に一度、現れるか現れないかのレベルで凄いんです!!」


 ――そんなにか!!!――


 「へ、へーそうなんですか」


 「しかも貴女の魔法適生値がそんじゃそこらの連中とは大違いにすごいです」


 ――そりゃまぁ魔女だしね――


 「しかもレベル3でこのステータスは凄いです」


 ――ステータスまで凄いのか!――


 受付のお姉さんの話を聞くとなづなは凄いらしい。


 「マジですか!それは嬉しいです」


 「それに貴女さっきこの貼り紙のこと見てたけど興味おありなんですか?」


 「はい!あります!」


 なづなの返事を聞き[世界№1魔法使い決定大会]の説明をしてくれる受付のお姉さん。やさしい。

 受付のお姉さんの話を聞くと[世界№1魔法使い決定大会]というのは二年おきに行われる世界規模の大会で、その大会で一位になったものには[最強の魔法使い]という称号を手にする事が出来るらしい。ちなみに[最強の魔法使い]という称号を手に入れると物の価格が半分になるらしいです。


 ――まじか!その称号チョー欲しい。けど、こういう世界規模の大会には予選が付き物だ――


 一応、予選があるのか気になったので聞いてみる事にした。


 「この大会って予選とかあるんですよね?」


 「ないですよ」


 「ないんですかっ!?」


 「はい。ですからこの大会に興味があるのでしたら出場されてみるのはいかがですか?」


 一瞬迷ったが大会に出場してみたかったので出場することにした。


 「わかりました。私、大会に出場します!」


 受付のお姉さんに薦められ大会に出場することになりました。


 「それではこの紙にサインして出場登録してください」


 「あ、はい」


 紙にサインして出場登録完了。という事らしい。


 「手続き完了致しました。次大会が行われるのは二年後ですので頑張ってそれまでに強くなってくださいね。応援してます!」


 「はい!頑張ります!!」


 受付のお姉さんのおかげかなづなの目にはやる気が宿っていた。




 しかし今のなづなにはまだ分かっていなかった、世界規模の大会が予選なしで行われるという恐怖を......

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