第2話私、魔女、TOP目指したいな!
目を覚まし、脳を覚醒させると、私は、全くもって身に覚えのない高原に寝転んでいました。
「はぁっ!」
口を大きく開け、空気を体内に送り込んで叫んだ。
「異世界に飛ばすタイミングちょっとは考えてよー!」
そう、なづなは最後の決め台詞の途中で異世界に飛ばされて怒って愚痴を言っていたのだ。
と、こんな愚痴を大声で言っているとあの天使さんの声がまた頭の中に流れ込んできた。
「うるさいわね。グダグダ言ってないで近くの湖で自分の姿見てきなさいよ」
天使さんにそう言われてなづなは近くの湖で自分の姿を見てみると、転生前のスーツではなく``魔女服``にフォルムチェンジしていたし、ちょっと若がっえって見えた気がしたような......
「え?私、コスプレしてる!?」
――絶対にこんな姿の女の子が学校に居たらモテまくるだろうなー――
「違うわよ。その姿は異世界での貴女の服装よ」
その口調からしていかにも呆れている感じが伝わってきた。そんな天使さんを差し置いてさっきとは一転なづなは魔女服をベタ褒めしていた。
「えー、この服めっちゃ可愛いしオシャレ!」
「当たり前でしょ!それは私が発注した特注品なんだから」
威張ったように天使さんが自慢げに言った。姿は見えないが恐らくあの小さな胸を張って言っていただろう。
天使さんが発注した特注品の魔女服は、胸元にハートのマークが入った黒のローブにハートのマークが入った大きめの黒の三角帽子、実に魔女らしい服装だった。
だが、日本から来た人間からしたらその姿はコスプレにしか見えないだろう。でもこのなづなの姿はコスプレでは無い。だってコスプレっていうのは元いるアニメなどキャラクターの服装、容姿などを真似してするものだからだ。しかし、こんな姿をしたアニメのキャラクターは見た事が無い。だから今のなづなの姿はコスプレではないのだ。
「天使さん、私はこれからどこに行けばいいの?」
「そうねー、貴女の左手に見える村のギルドに行ってみなさい。そうすればきっとなにか貴女のやりたい事が見つかる思うから」
「うん。わかった!」
村に行く事に賛成したなづなに思いもしなかった発言が脳に直接響いた。
「ちなみに貴女の年齢いっじといたから」
「やっぱりか!なんで!?」
「......」
ちょっとしたツッコミを入れるもこれを最後に天使さんからの声が脳に直接聞こえることはなくなった。
村に行く事に賛成したなづなは歩き出す。高原から村までは下り道なので基本歩くのは楽なのだが、村に行く途中にモンスターと出くわした。
モンスター名はおそらく[スライム]だろう。そのプヨンプヨンの身体にテカテカしたお肌、愛くるしい目、絶対に[スライム]だ。このモンスターは、どのゲームでも大抵は序盤に出てくる最弱のモンスターだ。つまり、初心者の為のモンスターだと解釈する。
当たり前だが初めてモンスターを生で見たなづなは妙に興奮していた。
なづなはスライムを見つめ、人差し指をスライムの方に向けた。
「私の経験値になりなさい」
「ミュ?」
キョトンとした顔のスライムを置き去りにし、なづなは左手をグーの形にして拳を作り、スライムに襲い掛かる。
「てやぁー!」
――プニュ――
「プニュ?え?」
なづなの渾身の物理攻撃は全くもって効いていなかったのだ。かすり傷一つすらつかなかった。こんな思考をする時間もつかの間、素早いスライムの反撃が始まる。その攻撃は``体当たり``だ。
――プニュ――
「うわっ!て?あれ?全然痛くない」
スライムの攻撃も全然効いていなかった。
なづなは全然パンチ力のない拳でプヨンプヨンのスライムの身体を殴り、スライムは全然ヒィジカルの無い身体で体当たりしてきたのだ。お互い傷の付かない戦いなんって泥仕合になると判断したなづなは近くに落ちている木の棒でスライムの目と目の間を一突き。
「えいっ!」
――シュワー――
軽く刺したつもりがこんな音を奏でてスライムの身体は消えていき、二センチぐらいの石を落していった。」
「あっなんか倒しちゃった」
自分でも驚きのなづなはスライムの落した石を拾いローブのポケットにしまい歩き出す。
またスライムと出くわすが木の棒で目と目の間を一突き。
――シュワー――
スライムはまた効果音を奏でて二センチぐらいの石を落していった。もちろん今落した石もちゃんと拾いローブのポケットにしまった。
スライム退治は苦ではないと判断したなづなは次々と出てくるスライムの目と目の間を木の棒で一突き。スライムは次々と石を落し消えてゆく。もちろん落ちた石は全部拾いローブのポケットにしまった。どんどんスライムを倒していくうちに``
スライムが落した石``は十三個ほど集まっていた。
「結構集まったなー」
汗を袖で拭い空を見上げて気づいた。空がちょっとオレンジがかっていることに。
「いけない、もうこんな時間急がなくちゃ!なづなダッシュ!」
なづなダッシュで高原を走り抜けやっと村の入り口にたどり着いた。
「ふうーやっと着いたー」
村の入り口の看板にはこう書いてあった。
――冒険初心者の方々大歓迎!ここは冒険初心者の為の村ビギナー村です!――
「村名にビギナーって入ってるし!」
そんな事より天使さんにギルドに行けって言われたことを思い出しギルドを探すことにしたなづなは村に訪れるのは初めてで心細いので村の人にギルドの位置を聞くことにした。
「あのーギルドってどこにありますか?」
「なんだい嬢ちゃんビギナーか?」
「はい。そうです」
「なら俺が案内してやるよ!」
「ありがとうございます!!」
体格の良いおっちゃんに深く一礼し、付いていくことにした。
村を歩く事二分ぐらい、大きな建物が目の前にあった。おそらくこの村の中で一番大きな建物だらろう。
「ありがとうございました!」
また深く一礼する。
「困った時はお互い様だぜ。また困った事があれば頼ってくれ」
最後に小さな紙切れに[俺の果物店]と書いてある紙を渡された。その紙もローブのポケットにしまい気持ちを切り替えギルドの扉を開けると恐らく冒険者であろう人達がワイワイガヤガヤ賑わっていた。
そんな中を一人、周りを見渡しながら歩いているとこんな張り紙を見つけた。
――世界№1魔法使い決定大会――
と書いてある貼り紙を見つけ、なづなは唐突にこう思い口に出してしまった。
「私、世界№1の魔法使いになりたいかも......]
そんな発言をした途端、なづなの言葉を耳にし冒険者数名がなづなの方を見つめていた。
「あれ?私、なんかまずい事言った?」
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