「角刈り乙女ゲー転生 ~乙女ゲー主人公に転生したけど登場人物全員角刈り~」★★★☆

 お久しぶりです、緒賀です。

 今回はアメジスト文庫出版、ガード東野先生の「角刈り乙女ゲー転生 ~乙女ゲーの主人公に転生したけど登場人物全員角刈り~」を読みました。以下あらすじ。


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 交通事故で死んだOL、田中たなか未春みはる。再び目を覚ましたとき、未春はドハマりしていた乙女ゲーム『迷い猫のLabyrinthラビリンス』の世界で、主人公である少女「アキ」へと転生していた。ただ、角刈りだった。街中の人々が、攻略対象のイケメン達が、そして、アキ自身が。「こんな乙女ゲーあってたまるかああああああ!!!」はたして、アキとなった未春は角刈りの呪縛から抜け出す事ができるのか。角刈り乙女の奮闘が、今始まる。


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 タイトルと表紙から分かるように、登場人物全員が見事に角刈りです。男女問わずです。しかもこれあれなんですよ、全員角刈りのヤンキーというわけでなく、ファッションとかキャラクターも元の乙女ゲー「迷い猫のLabyrinthラビリンス」のままで髪型だけ皆角刈りになってるんです。言うなれば角刈りMOD。華やかな衣装に身を包み、甘い言葉をかけてくる角刈りの攻略対象達。まだ不良キャラとかが多かったら納得できるんですが、元から角刈りなのがアキのお母さんだけなんですよね。よりにもよってお母さんの方かよ。"でも、角刈りなんだよなぁ……。"と独り言つ主人公が多々入り込みます。イラストの角刈り含有率が100%であることからも共感できるポイントです。というかイラストが豊富なのは良かった。でも、角刈りなんだよなぁ……。

 少し関係ない話をしますが、金髪の生徒が校則違反で叱られて「見てくれじゃなくて中身を見てくれよ」と言う場面がありますよね。あれって校則という集団のルールを、言葉での抗議を介さず行動に移すような自分の中身を見てくれ、と言ってるわけですよね。善し悪しは別として、相容れない人種だなぁと思います。

 閑話休題。主人公であるアキは、やがて角刈りを強制する政府の圧政の存在に辿り着き、日本に髪型の自由を取り戻すために角刈りイケメン達と蜂起して――。

 角刈りという視覚的インパクトから、政治的な領域に話を進める流れが以外にも綺麗でした。最後のメッセージ性も良かったですね。ただイケメンのイケメン要素を守り通そうとした結果、ギャグの爆発力が控えめになってしまっていたのは残念だったかもしれません。

 全体としてはそれなりに面白かったです。次回作にも期待しましょう。それでは。

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