第36話ミリシャちゃんの話をするよ

 ミリシャの話。


 について。

 :強引だな。

 なにが。

 :青春の甘さ、せつなさがこれっぽっちもない。

 青春ていつだったか思い出せない……ぜ。

 :(全員)がくっ。

 え? バトルシーンに青春の甘さやらせつなさやらが必要なの?

 :「いいだろう。信じてやろう」、みたいなのが必要なの。

 え? それって黒い球体(敵)にしゃべらせろってこと?

 :うん。

 なるほど。

 …

 で、どうなる?

 :どうなるって……ノープランニング?

 いや、もうクライマックスに突入してるし、その道のりの最後に近づくほど、多くの教示を受けよ、と父が言っていたし。

 :なるほど。

 :カンニング!

 え? ヨンバンが演じて、サンバンが書いて、わたくしが監督するんだよね?

 :まー、そーだなー……。

 :一口に言えばねー。

 一応念のために聞くけど、今、暇?

 :暇じゃないのよ。

 何やってんの?

 :執筆!

 何書いてんの?

 :魔王が勇者! 書いてるよ。

 わたくし、なにやってればいいの?

 :落とし穴作って。

 伏線?

 :回収してよ!

 オーライ。筋道正せばいいんだよね?

 :うん。早くして。

 一息ついてからにしよう。

 :おまえなー!!

 365日のWonderって知ってるかな? ブラウン先生の格言ノート。

 :知ってるよ。

 そこに、クリストファー・ロビン(くまのプーさんの登場キャラ)のセリフが載っている。

「You are braver than you believe, stronger than you seem, and smarter than you think.」

 わたくしが人生のうちで、この言葉ほど的確に励まされたことは、ずっとずっと、数えるほどなんだよ。脳内キャラはこき下ろすのに必死だし、夢を見れば「妄想だ」「願望に過ぎない」と冷や水を浴びせようとするし、乗り気になってると「独りでやれ」と突き放す。だから、随分とドライな性格に育ってしまったものだ。

 :だって、しょうがないじゃないか。

 モノマネかい?

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