初めてくる街って変な感じするよね
扉を開けた先にいたのは、心平と新手さんだった。
「えーっと、夕だよな」
「えーっと、心平?」
そこで、目の前にある事実を認識する。
「ねぇ、有栖これはどういうこと?」
「どういうこと?」
「なんで、心平と新手さんがいるの?っていうことなんだけど…」
「うーん、なんでとかいわれても。いるから?」
まぁ、いいや。可愛いし。
「ねぇねぇ、たっくんと有栖たんはどんな関係なの?恋人?」
「兄妹ですかねっていうかなんでそんな呼び方なんですか?」
「そうかいそうかい。微塵も似てないね2人」
無視ですか…僕の声は届いていませんか
「そういうもんですよ大抵」
うーんと新手さんはうなって「そうだよね」と言った。
「あと、麻奈華さんとかもいるぞ」
なんてこった。
まぁそんなに怒ってなかったぽいし。大丈夫だよね。
そんなことを思っていると「ただいま」という声が響いた。
この声は!!
そう思い玄関の方を見ると土井先輩がいた。すると、先輩も気付きこちらを向く。
「えーっとなんで、夕君がいるのかな?」
「なんでと言われても、困ります」
「まぁー、そうだよね。そういえば、夕君は今日初めてここに来たの?」
ということは、みんなはこの世界に来たのは初めてという訳ではないのか。
「あの、いっぱい教えてほしいことがあるんですけど?」
「そうだよね、じゃあとりあえず席に座ろっか」
そう言われ、僕はリビングルームに向かい空いている席に座った。
「その聞きたいことって?」と土井先輩が僕に聞く。
「あのーさっき有栖から大まかなことは聞いたんですけど。まだわからないことがいっぱいあって」
「じゃあとりあえずどんなこと聞きたいの?」
僕は悩み最初の質問を決断する。
「この世界には魔法があるんですか?」
「あるよ、私たち異世界人には使える人はほとんどすくないかな。ちなみに私とか有栖ちゃんとか弥紗ちゃんは使えるよ、土魔法が使えるよ。あとね、異世界人には特殊な力を持ってるんだけどね」
やっぱあれは魔法だったのか
「それは、僕にもあるんですか?」
「多分あるんじゃないかな。今までない人は見たことないけど…」
やめて!!フラグ建築!!
僕は咳払いをして、新たな質問をする。
「えーっとそれってどうやって知ればいいんですか?」
「それは大丈夫あとで、調べに行くから」
「なるほど、じゃあ次の質問なんですけど。この世界に降りるときに思いっきりものすごい高さから落ちたんですけどちょっとだけ痛いだけでほとんど無傷だったんですけど。なんかこの世界に来ると基礎能力が強くなるんですか?」
「え?うんまぁ、強くなるけど基本的に強くはなるんだけど、そこまでじゃないと思うよ。能力にもよるけどたいていの人は腕が一本やられるくらいの傷は負うと思うけど…」
「じゃあ、土井先輩もですか?」
「私は、なんか危ないと思ったら何かゴーレムが出てきて助かった」
そ、そんもんなのか…
「ちなみに心平君は腕一本どころじゃなかったけど」
まじか…いや普通に尊敬するよ心平。
「勝手にばらさないでもらえますか?」
と軽く心平が一ツッコミする。
「しかしでも、僕は落ちても大丈夫だったってことは…」
「多分、そういう感じの能力だろうね」
守備系か能力上昇系の能力だろうか。いや、そういえば立ち上がる時もものすごい力が出たし、能力上昇系の能力か。ハンハンで言うところの強化系か。
オーソドックスで少年漫画の主人公っぽいな。
「じゃあさ、この第6層ってどのくらい広いの?」
「どのくらいなの心平君?」
「俺に聞いてるんですか?確か200kmくらいだった気が」
「さすが、心ちゃん。頭だけはいいね」
新手さんはあだ名で呼ぶ癖があるのかな。
「この層には、やっぱり城下町みたいなのがあるの?」
「うん、壁周街があるよ。ちなみに
と土井先輩が答える。
「ねぇ、兄さん。あとで一緒に行こう」
「そうだね、街に出て説明するのが一番早いよね。じゃあ、とりあえず準備して出ようか」
そうして有栖やみんなは寝間着から着替えて
こんなに私服が恋しくなることは初めてだよね生きてきて。
第六層の商業区はドレイアム最大の市場らしい。それ故かここは第六層より下の層とも交易が盛んだ。もちろん上の層からも来たりする。
人柄も良くサービスも旺盛らしい。日本で言うところの築地らしい。
らしいのところは全部新手さん談ですけど。
まぁ、来た感じ嘘ではなさそうだし。
しかし、雑貨屋とか八百屋とか本当に異世界系アニメの城下町みたいな感じだった。
「なんか、コミケぐらい人いません?」
「コミケって大体15、6万人くらいだっけか。さすがにそこまではいないが、それでもまぁ、4,5万人くらい来てるみたいなのは聞いたことあるな」
なるほど、デパートみたいなものか。
街中を歩いているだけで「いらっしゃい」とか「サービスするよ」とかいろいろな声が聞こえる。
「とりあえず、この先にある賢者の館に行こうか」
「賢者の館?ってなんですか?」
「さっき言ってた能力がわかるところ。あと、この層を守ってる賢者が住んでるところだよ」
賢者かなんか強そうだな。というか強いだろうな。
僕は有栖やみんなとはぐれないように一生懸命ついて行った。
なんとかして賢者の館に着いたが扉の前には
「あの不在って書いてあるんですが…」
「うん、気持ちはわかるよ」
心中察してくれるのはうれしいんですけどね。なんだか、出鼻を挫かれた感じが否めない。
「まぁ、しょうがないし。とりあえず役所行こうか」
「えーっと先に服買いに行ったらダメですか?」
「うーん、そうだね。でも、お金ないでしょ?」
一同で悩んでいると。有栖が「私、払ってもいいよ」と言ったがさすがにそれは申し訳ないので断っておいた。
すると、心平が口を開く。
「先に誰かに払ってもらって後でもらえる転移者保障で返せばいいんじゃね」
「転移者保障って?」
「転移者って転移したての頃じゃ、お金とか無いからね。なんかその辺の差をなくすために一律して1万ペスト貰えるシステムのこと」
「ペストって円換算にしたらいくらなの?」
「10円くらいじゃないか」
「心平君の言う通りでいいんじゃない」
「そうですよね。心平から借りようかな」
「俺かよ、しっかり返せよ」
そうして、土井先輩のおすすめの洋服屋に行き。服を買った。
そして、その場で着替えて役所に向かった。
役所では簡単な手続きを済ませ。レコードカードというものを受け取り役所を出た。
レコードカードとは主に個人を証明するためにつかわれるカードらしい。
このカードでこの国は個人も管理しているらしい。
なんかこういうの持ってると色々言いたくなる台詞あるよね。
そんなことはどうでもいいんだけどね。個人的にはリスキーダイスとか振ってみたいかな。
しかし、気付いたことがある。もう、こっちに来てほどほどに時間はたった気がする。しかし、太陽は一向に動く気配ない。
「この世界は太陽が沈まないんですか?」
「うん、ちょっと違うけどね。この世界っていう訳ではないんだ。ドレイアムには夜が来ないんだ。その代わりに朝が来ない国とかもあるらしいよ。ちなみにこの6層はそこまで日が強くないんだよ西に行けばいくほど日は強くなるんだ」
今日は異常に充実した日だった気がする。
僕は、始めてくる世界でこの先何が待ってて。何が起きるかわからない。そんなことに心を躍らせていた。新しい発見、新しい知識、これからいっぱい学んで。みんなでいっぱい活躍して、そんな未来を期待して。
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