VRMMOで鈍感な主人公に恋するむっつりスケベな彼女は現役JKアイドルだった！？ 〜現実世界（リアル）で再会していることに気付いた日〜

第76話 最終話。繋がり

「蓮くん……そ、その、ごめんなさいです……」

「そう簡単に許すわけないだろ。どんだけ心配をかけさせるんだよ……ったく」

　蓮は真白の手を握ったまま悪態を吐く。しかしそれは、二人に平穏が訪れたから言える言葉でもある。

「れ、蓮くんを守りたかったの……。わたし、ずっと蓮くんに助けてもらってばっかりだったから……」

「そんなこと気にするな。真白の気持ちは嬉しいが、自分を犠牲にするような真似は俺が許さない」

「うぅ、蓮くん……」

　感極まったのか、歩道を歩いている矢先に思いっきり抱きついてくる。

「……っ、おい。人通りがある場所で抱きつくなって」

「わたし、やっぱり蓮くんが好きです……。付き合えて良かったです……」

「好きじゃなくて付き合ってたら、それはそれで問題だろ」

「もう……別れたくないです」

　グリグリと蓮の胸元に頭を埋めながら声を震わす。もう、こんな思いはしたくない。そう思うのは誰だって同じこと。

「それなら、別れなければいい。俺が真白から離れることはないし」

「うんっ……うん……っ！」

「ほら、そろそろ帰るぞ。……俺は真白を家に届ける役目を持ってるしな」

　蓮は真白をゆっくりと引き剥がし、真白の歩幅に合わせていた矢先だった。

「わ、わたし……蓮くんの家に行きたいです……」

「は？」

　突として、上目遣いをしながら真白がそんな発言をする。

「蓮くんと一緒に居たいです……。蓮くんと一緒に居たいって思ってたから……もう、我慢しなくていいから……」

「その気持ちは痛いほど分かるんだが、琥珀先輩から言われてることを破るわけにはいかないんだよ」

「ま、守れば良いんです。わ、わたしを朝に送ってくれればいいんです……」

「朝？ おい、それって……」

「お泊まーー」

「泊まらせないからな」

　真白が何を言うのかを予想した蓮は、先手を打って優位に立つ。真白を泊まらせたくない理由は、抑えきれない感情が来る可能性があったからだ。

「き、着替えもあるんです……！」

「大きなリュックだと思ったらこの中身は着替えか……。って、そうじゃない。真白が泊まりに来られるといろいろと問題が発生するだろうが」

　元より、真白は金髪の男ーー事務所社長の息子とホテルに行く予定だったのだ。着替えを用意しているのはあり得ないことではない。

「え、えっちな本とか……えっちなビデオとか……ですよね？」

「違う」

「ご、誤魔化さなくても大丈夫ですよっ！ れ、蓮くんは男の子なんです。え、えっちいものを持ってても不思議じゃないですから！ むしろそうじゃないと困りますっ！」

「……」

「じー……」

　じぃっと顔を合わせる二人。そこで顔を背けることもなく、真白は期待の眼差しを蓮に向け続けている。

「そんなに俺の家に来たいのか……？」

「は、はいっ！」

「……お母さんに連絡するんなら、お茶くらいは出す。でも、それ以上のことは何もいしないからな」

　蓮は簡単に折れた。蓮だって真白と一緒に居たい気持ちなのだから。それに……結局は真白を無事に家に送り届けることが出来れば約束は果たすことが出来るのだ。

「あ、ありがとうございますっ！ 急いで連絡しますっ！」

「あ、ああ」

　そして、真白のお母さんと連絡が付く。その返事は『ＯＫ！』という文字だった。

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「一応オレンジジュースもあるんだが、お茶で大丈夫だったか？」

「う、うん……！」

　蓮の自宅に着き、椅子に座る真白はキョロキョロと辺りを見渡しながら、蓮が注いだお茶を両手で受け取る。

「さっきからそわそわして、そんなに緊張しなくても良いぞ？」

「緊張するに決まってるじゃないですかぁ……！ 蓮くんのおうちにお邪魔してるんですよ！？ そ、それに、初めて男の人のおうちにお邪魔してるんですから……！」

「自宅のようにリラックスしてくれていい。お茶を出す以外には、本当に何もするつもりもないんだから」

　蓮としては、真白をただ安心させたい気持ちの一心だった。だがそれは……真白にとって小さな不満要素だった。

「えっ……か、彼女が蓮くんの家にお邪魔してるのにですか！？」

「当たり前だろ」

「もぅ。蓮くんはなにも分かってないです……。お、女の子にだって……性欲はあるのに……」

　小声で蓮に聞こえることなく呟く真白は、冷たいお茶を口に含む。

「ふあぁ〜、それ飲み終わったら家まで送るからな。もう２２時だし、これ以上は流石に家に置くことは出来ない」

「れ、蓮くんは眠いんですか？」

　口に手を当てアクビをする蓮を見て、真白は疑問を口に出す。

「まぁ、昨日は寝れてなかったからな。それに、真白を助けられて緊張の糸が切れたってのもある」

「え、えっと……それじゃあ、蓮くん……。お、お風呂を貸してくれませんか……？」

「ど、どう言う意味だ？」

　話の繋がりが見えるわけでもなく、当然の質問をする蓮は睡魔から目を擦る。

「わ、わたしがお風呂に入っている間、蓮くんは仮眠を取っておいてください……。い、今の状態でわたしの家まで送るのは危険がありますからっ……！」

「流石に真白を送ってる途中に寝たりはしないぞ……？ ふあぁ〜」

ここで再びアクビが出る蓮。

「か、彼女は心配してるんです……。す、少しくらいはわたしの言うことを聞いて欲しいです……」

　弱々しく、それでいて強い意志を感じさせる真白。『心配してる』その気持ちを無下に出来るわけにはいかなかった。

「……分かったよ。それじゃあ、真白の言葉に甘えて俺は仮眠を取ることにする。そんじゃ、お風呂場まで案内するから付いて来てくれ」

「の、覗かないで下さいよっ……！ 絶対ですからね！？」

　フリとも呼べる発言をする真白だが、覗く勇気は蓮にない。

「お茶を出す以外には何もしないって。それで……俺の自室はここだから。一応アラームはかけておくが、それでも寝ていたら起こしてくれ」

「う、うん……。分かりました」

　そして、真白はお風呂場に、蓮は自室に向かっていった。

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「れ、蓮くーん……」

「……」

数十分のお風呂に入り終わったわたしは、蓮くんの部屋の前で声をかけます。

「蓮くん？」

「……」

「あ、開けますよ……？」

返答がないことで、ゆっくりと扉を開けるわたしは蓮くんの自室に足を踏み入れます。

「れ、蓮くんが……寝てる……」

　わたしの視線に入ったのは、ベットでおやすみしている蓮くんでした。

（は、蓮くんの寝顔……初めて）

急いでスマホを立ち上げ、シャッター音を消した後に写真を撮ります。これはなかなか撮れる写真じゃありません！

「こっちの角度と、こっちの角度から取って……蓮くんに送信して……っと。蓮くんはどんな反応を見せてくれるのかなぁ……」

　（想像しただけで心が踊ります……！）

　写真には一言、『蓮くんの寝顔は可愛い！』と、本音９割、からかい１割のメッセージを付けます。

　撮った写真を共有したんですから、これは盗撮じゃなくなります……！ 盗撮じゃないんですっ！ 多分……。

　と、その瞬間ーー蓮くんのスマホからアラームが鳴り響きます。

「はっ……！？」　

わたしは迅速かつ丁寧に蓮くんのスマホに手をかけ、アラームを停止させます。

　もし、蓮くんを起こしてしまったら……この家から追い出されてしまいます……。わたしの家に帰らないといけません。

　蓮くんともっと居たい……。もっと寝顔を見ていたい……。そんな欲望がわたしを蝕んでいくのです……。

「蓮くん……」

　この家にはわたしと蓮くん以外には誰も居ない。何をしてもバレることがない……。

　この状況に気付いた時、抑えきれないものがわたしを動かしていました。

「んっ……」

「ん……」

　わたしは蓮くんに近付き、優しく唇を重ねます……。

　久しぶりの感触……。これが出来るのも、蓮くんがわたしを助けてくれたから……。

「っ……んっ……んぁっ」

「……」

　もう、わたしがわたしを止めることは出来ませんでした……。さっきよりも強く唇を押し付け……蓮くんの唇を貪ります。

　それは、今まで蓮くんのことを我慢していた代償が襲って来たからでもありました。

「あぅっ……。だめだよ……。やめないとだめなのに……。んっ……っ」

　頭では分かっていても……もう止めることは出来ませんでした。だって、わたしの理性のネジは外れていたのです……。

「蓮くん……好き、大好き……」

　わたしは蓮くんのベッドに上がり……蓮くんを押し倒した後のような体勢にして抱き締めます。

　言葉に出来ないような昂り……。

　身体の底から溢れ出してくる火照り……。

　どんどんと激しくなる行動……。

「お、お風呂に入ったのに……こんなに濡れてる……。ど、どうしよう……っ、もう、我慢出来ないよ……」

　わたしは蓮くんのあそこに……じぶんのあそこを衣服越しに擦り付けます。その途端ーー今までに味わったことのない快楽が押し寄せてくる。

「んっ……あっ……。んぁっ……」

「……」

　我慢するはずの声が甘く漏れ出し……それを抑えるために、わたしは蓮くん唇で自分の唇を重ね合わせます。

　そして……気付きます。蓮くんのが大きくなっていることに……。

　それは、わたしを感じてくれていること……。

　わたしので大きくなってくれたということ……。

「っ……んんっ。……っ！」

　擦り付ける力は更に強まり、さらに強い快感を求める。蓮くんの匂いが染み付いたベッド……。それだけで抱き締められているような感覚に陥る。

「蓮くん……蓮くん……っ！」

　ーーそして絶頂が来る。『気持ちいい』の他に何も考えられず、ただただ大好きな相手の名前を呼ぶ。

「ま、まし……ろ……？」

　わたしは蓮くんの寝起きの声に気付くこともなく、ひたすらにあそこを擦り付けーー

「んんっ〜〜〜っ…………！！」

　びくんと、数回の痙攣が起き……力なく蓮くんの元に倒れる……。

「はぁ……はぁ……っ」

　そこで重ね合わせる身体……。その下腹部から……熱いなにがが止まらなく流れる。……それは絶頂が訪れた後のこと。

「うぅ……しちゃった……。寝てる蓮くんでしちゃったよ……」

　体力の回復をするために、その罪悪感を無くすために、動くことなく蓮くんを再び抱き締めたその時でした……、

「……ッ！」

「ふえっ！？」

　蓮くんの上に乗っていたわたしでしたが……いきなり視界が反転したのです。

　わたしの背中はベッドに付き、蓮くんの背中は天井側に向いている。それは体勢の逆転……。

「真白……それは許せない」

「だ、だって……だって……」

　蓮くんが目を覚ますのはわたしにとって一番マズいこと……。何も考えられない中、上手い言い訳も浮かんで来るはずもない。

　目の前には蓮くんの顔……。わたしを押し倒す蓮くんがいる……。

　わたしは真っ赤な顔になりながら視線を逸らします。

「こんなことして、どうなるか……分かってるだろうな」

　蓮くんはベッドに横たわるわたしのあご先をクイっと持ち上げ……言う。

　それは、この先に何をするのかを暗示しているもの……。だから真白は挑発的に返した。

「え、えへへ……。かかってこいです……」

　そして……蓮が真白を自宅に送り届けたのは０時を回った早朝。

　幸せそうな笑みを浮かべ、下腹部を庇うように変な歩き方をする真白を支える蓮。

　それはまるで、これから先の試練を二人三脚で登る……そんな様子を見ているようでもあった。