第11話 ついに村の外へ
村の外に出ると言っても、ここは辺境の村。
母さんの話にも出た通り、五つある大陸の一つで、白の大陸と呼ばれているここは、転移の魔法陣を通らなければ外へ行くことができない。
ギャラメルさんは魔法陣を書き写してくれたが、まだこれから色々な準備があるそうだ。それが、相手側の魔法陣がうまく作動するかどうかだ。
相手側の魔法陣は、元々あるもので、その魔法陣用の部屋もあり、さらに清潔に保たれているため問題はない。
しかし、こちらの魔法陣は保存できる部屋もないし、何しろ管理する人間がいない。そのため、手書きで行うのだが、書き間違いがあったり作動しなかったりすることがあるため、実際に作動するかどうか確認する作業をしなければいけないらしい。
だから俺たちは、村の外に出るにあたって、持ち物の準備をしていた。
まず、お金。
この村では物々交換で、野菜や家具などを交換しているため、基本的にお金は必要ない。
だけど、魔物が村を襲って来る際、
次に持ち物。
いつ俺たちが村を出ることが伝わったのか、村で
どうやら、前世のラノベでよく聞くマジックバックみたいなものらしい。
試しに、拳ほどある魔石を鞄に入れてみたら、5個全て入った。
邪魔にならないような、腰にかけるタイプの鞄なのに、全て入れることができてしまった。
残りの5個は、指輪から入れた。どうやら、ものに触れさせるだけで魔法鞄に入れられるようになっているらしい。取り出すときは、手をかざして魔力を流し、取り出したい物を思い浮かべれば、それが取り出せることを教えて貰った。
指輪にはもう一つ機能があり、宝石の部分を押すと、中に入っているものがわかるようになっているらしい。
宝石の色は、人によって違い、俺は黒色だった。そしてリーベは白、フェリアは赤で、ルナは紫、ライズは水色だった。
最後に、服。
村の仕立て屋が、村の外にいつ出てもいいように、服を作ってくれていたらしい。準備早くね?
守人が来ている服と同じ素材を使っているらしく、防刃防魔、対状態異常の付与が付いているらしい。また、どんなに重く硬いものが降ってきても大丈夫なように、衝撃吸収の結界が張られているバンダナとマグマや毒の沼の上でも歩ける魔法のブーツを貰った。これは靴の職人と一緒に作ったらしい。
あとは日常的に着れる服。
心配しすぎでは?
あと、こんなこと普通に言っているけど、他の人から見れば「なにこのチート満載」とか言われるだろうし、そもそもこの村はやっぱりおかしいと思う。
次の日、家族と別れの挨拶をして、村長の家に向かった。
すでにそこでは、淡く光る魔法陣が準備されており、いつでも転移できる状態になっていた。
俺を含めた五人はその魔法陣の上に乗った。
そして、魔法陣が光り輝き、俺たちが転移されようというときに、村長は俺たちに向かってニヤリと笑い言った。
「魔王によろしく伝えてくれ」
は?魔王?
こうして俺たちは、魔法陣の光とともにこの辺境の村から消えた。
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