第4話 精霊とお話し
時同じくして、リーベの部屋にも精霊が現れたらしい。
今日の朝、死を司る精霊であるサナトスが自己紹介を終えた直後、リーベが俺の部屋に直撃してきた。
精霊の名前は主人が決めるらしく、俺は『死』はギリシャ語で『サナトス』と呼ぶらしいから、サナトスと名付けた。
リーベの話から、彼女の部屋に現れたのは『生を司る精霊』だということがわかった。名前は既に決めてあるらしく、『ゼン』と名付けられていた。『生きる』はギリシャ語で『ゼーン』と呼ぶらしく、そこから『ー』を取って名付けたらしい。
自己紹介されたが、サナトスと似たような顔をしている。双子だろうか?
「ところで、なんでそんなこと知ってんだ?」
「え?タケルンの部屋にあったよ?」
前世の俺の部屋にある黒歴史ノートが彼女に読まれていたなんて知らなかった。これは悶絶ものだな。しないけど。
だってしたら、サナトスとゼンに変な目で見られるかもしれないじゃん。
『タケルンとはなんですか。その辺詳しくお願いできますかね?』
『僕も知りたいです』
ゼン、お前男の子だったのか。てっきり女の子かと思っていた。
そんなことより、タケルンの由来を言って、この子たちが信じてくれるかどうかだよな。ま、精霊と言うんだから、異世界と言うのも信じてくれるんじゃないか?
そう思い、説明してみたが……
『異世界ですか、にわかに信じられない話ですね』
『僕ら精霊は、この世界で生まれて、この世界で消滅するモノですからね』
お前ら生まれも育ちもこの世界かよ。精霊の世界とかないのかよ。というか、自分の主人を疑うなよ。
『あ、そういえば……』
サナトスは唐突に、俺らがなぜこの世界に転生したのか質問してきた。まあ、隠していても仕方ないし、俺らと契約してくれた精霊だから、最終的には話さないといけないのだから今話してしまうか。
もちろん、その時の死神の様子を細かく説明した。
『なるほど。リア充爆発しろですか、そうですか』
そう言って、彼女は俺とリーベを交互に見て、ため息をついた。
「何さ」
『いえ、その子の様子を見る限り、その死神が嫉妬する理由もわかる気がしますよ』
「あん?」
俺はサナトスの言葉を聞き、リーベを見る。
俺の奴隷として生まれ変わった彼女は、いつの間にか俺のタンスを漁っていた。
なんでだよ!!
「おいコラ!何やってんだよ!!」
「何って……物色?」
あろうことか、彼女は俺のタンスを漁り、何を持っていくか物色していたのである。あいつ、前世では何もなかったのに、この世界に来たら自由になりやがったな。
『いえ、見て欲しいのはそこではないのですが……』
『いずれ気づくんじゃない?』
『それもそうですね』
なんか精霊二人が何か言っているが、そんなことより優先しなければいけないことがある。
それは、俺のタンスから衣服を盗み出そうとしている目の前の奴隷を止めることだっ!というか、止めなければ俺のスローライフに支障を来すだろう。
いや、もしかしたらもう、支障を来しているかもしれない。
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