お風呂と性感帯。

俺はカンチ。

風呂好きのフレンチブルドックだ!

俺はなかなか風呂好きで、張り切って風呂に向かう。


風呂に入れてくれるのはヒロコかユウタだ。

しかしながら仁科家は犬に厳しい。

俺はシャワーなど高価な良質な水など使わせてもらえない。

必ずお風呂のあまり湯。

そしてタライでバッシャバッッシャかけられる…。


俺が来た当初は犬用のシャンプーを使っていたが最近は、

「弱酸性だから。」

とかよくわからない陳弁で、ビオレuになった。なんだか知らんがレモンくさくてかなわない。

…俺は知っている!

犬用のシャンプーが高価だからということを!!

こんな高級な血統書つきのお犬様に、これほど徹底してお金をかけない家は犬を飼うな!とたまに思う。

しかしながら風呂は気持ちがいい!!



俺は大人しく泡だらけにされる。


「カンチ!首輪んとこきたなーい。」

ヒロコが俺を泡だらけにして笑う。


そうそう、尻尾の付け根も洗ってな!


耳の後ろもよろしくな!


肉球と指の間も忘れずに!


大事なチンは優しくな!


ヒロコは白い泡で、俺のジャガイモくらいのワンポイントを消して白い犬にするという遊び方をしている。

「ホワイトドッグ!」


いやいや、俺にはハチワレ猫柄があるからな!


「流すよカンチ。」

バシャー!バシャー!

バシャー!バシャー!


ブルブルするタイミングがつかめないくらい

大量のお湯が一気に落ちて来る。


湯加減は最高だ!


ヒロコがドライヤーを取りに行く時に俺はブルブルする。

ヒロコに水がかからないようにな。


俺はなかなか優しい、風呂好きな犬だ!


しかし、ユウタの場合は違う。

ユウタの時は、ユウタのすぐ横まで近づいてからブルブルする…!


これはせめてもの嫌がらせ兼、憂さ晴らし。


ユウタの時は顔のシワ洗いがオプションでついて来る。

このフレンチブルドックの特有の、シワ洗い。

俺らにとっては大事ことなんだが…。

俺はこれが大嫌いだ!

おまけにシャワーじゃない分顔に大量のお湯がかかる!大嫌いだ!!


だから俺はユウタのそばでブルブルして憂さ晴らしするが、それだけでは治らない!


だから俺が編み出した嫌がらせがもう一つある。


顔を洗う時だけは犬用のシャンプーだ。

「カンチ大人しくしてろよ。」

ふん!してるものか!

と思うが、大事な耳に水が入ると気持ち悪いから大人しくしているしかない。


んんんんー。

シワをゴシゴシされる。


「流すぞー。」

きた!これだ!


バジャーバシャー。


俺はこれが嫌いなんだが、この時大事なことは鼻に水を少し貯めておくことだ。

そして、流し終わったあと、

調子が悪そうに俯く。

「カンチどうした?耳に水が入ったか?」

まだだ。

まだ時じゃない。


ユウタが顔を覗き込む。

今だ!!

俺は顔を上げて一気に鼻の中の水を吹き出す。


プシューッ!

「わ!ばっか。この野郎!」


ユウタの顔に鼻水鉄砲が吹きかかる。

しっしっし!

ユウタめ!

鼻水鉄砲はなかなかユウタを困らせる…!


俺はこうして大嫌いなシワ洗いを少しでも楽しむことができる、賢い犬だ。


そう、賢い犬だ!!



ユウタが俺の全身を洗う時は意地悪をして、

俺は伏せをする。

困れ!困れ!ユウタ。

「腹が洗えないだろ。」

知っているさ。


ユウタが俺に手を焼くところがたまらない。

しっしっし!


「母さんカンチがいうこときかないー。」

風呂場でユウタのトシコさんをよぶ。

俺はトシコさんに怒られるんじゃないかとすかさず立ち上がる。

わかっている…。

わかっている!

これは罠だ。罠なんだ!


今日はトシコさんがお仕事だということをわかっている!が、ご主人の名前に反応してしまうのが犬である…。

ユウタめ!


最近俺はなかなかユウタに転がされ始めている…。


俺が風呂場でタオルで拭かれているときタオルに噛み付いてユウタを困らせる。


「ガウガウ!」

トシコさん呼びやがって!この、この!


「ばか。やめろ!」


「ガウガウ!」

シワ洗いやがって!この!、この!


「はーなーせ。」


「ガウガウ!」

せめてもの腹いせだ。



あ…!


俺がわがままを言って困らせるとユウタは俺の尻尾の付け根をグリグリする。


そ、そこは…!

あ…。やめ…。

あ…はんッ

まるで官能小説さながら。


そう。尻尾の付け根。

俺の性感帯。

そこをグリグリされると腰に力が入らない。

そして鼻水が出てくるせいか、鼻を舐めずにはいられない…!

俺はちらが抜けて腰が砕ける。


あ、はぁん…。


最近ユウタに弱点がバレている…。

バレている!

悔しいが

快楽には勝てない。


ユウタめ!

ユウタめ!

「ガウガウ。」

悔しいからユウタが手を離した後またタオルに噛み付く。


あ…!


またグリグリされる。


もうやめよう…。

大人しくしていよう…。

鼻水鉄砲とブルブルだけの嫌がらせにしよう…。

俺も大人げなかった…。


妙な敗北感を感じる俺。




それでも俺は風呂が好きだ!

誰に洗われようようとも気持ちいいことには変わらない(身体に限る。)

だから、ビオレuでも、あまり湯でも……

この際贅沢はいうまい。


だがこれだけは肝に銘じよう。


風呂は大人しくしているに限る!!!!
















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