ご近所キラーなアザとい犬。3

干物屋のおっちゃん。


用宗には用宗港がある。

だからしらす工場や干物屋がいっぱいある。

仁科家のすぐ近くの浜の脇に干物店がある。

店主はユウタの半分くらいしかないちっちゃいおっちゃんだ。俺に似て愛嬌がある。

「おーおーカンちゃんカンちゃん」

おっちゃんは俺を呼ぶ。

俺はこの干物の甘じょっぱいタレの臭いがたまらない。

地面だって舐められる!

ベロベロしようもんならユウタに怒られるが、、、誘惑に勝てないのが犬である。

おっちゃんは、それはそれは俺のことが大好きだ。なでなで、ゆさゆさ、ポンポンしてくれる。

でも俺は気づいている。

おっちゃんは犬より人が好きなのだ。

だから俺よりもユウタやトシコさん、ヒロコと世間話がしたいのだ。

おっちゃんは商売屋だ。

トシコさんはおっちゃんと話したら大体夕飯は干物になる。

愛嬌のあるもの同士、目的がわかってしまう。

俺は見抜いている。

だがしかし!

おっちゃんの愛嬌の良さと

このタレの匂いはたまらない!!

おっちゃんに転がされていたとしても。

俺もおっちゃんも、干物好きな仁科家も幸せならいいのだ!

ユウタがおっちゃんと話す隙を狙って俺は地面のタレを舐める。

俺はどう頑張っても干物というおこぼれはいただけないからな!

おっちゃんは言う。

「面白い顔してるよな、カンちゃんは!」

素直じゃねーな。

そこはかわいいって言っとけよ!

と思いつつ俺は地面のタレに夢中になる。

俺はなかなかできる犬だ。

みんなの思惑を知っていて

みんながwin-winの状態を作り上げる。


できる犬だ!!

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