ご近所キラーなアザとい犬。4

俺はカンチ。

フレンチブルドックだ。

俺は近所でなかなか有名な人気者である。

可愛がられ方も可愛く見せる方法も心得ている、賢い犬だ!


夏になると用宗の浜ではバーベキューをする若者がおおい。

仁科家は海から1分もあれば家に着く。

だからバーベキューの匂いがする。

俺はもうたまらない!

あのウィンナーの焼ける匂い!!


ユウタが俺にリードをつける前に飛び出した。

アイツは足が遅いから追い付けやしない。

一目散に堤防まで走る俺。

浜へ降りる坂を駆け下りる。

見つけた!

バーベキューをやっている若者たち。

俺は賢い。

俺はどうすれば可愛さを売れるのかを知っている!

白いお皿の上のウィンナーを見つめながら、

ヘコヘコ息を切らしてニンマリ笑う。

それからおすわりをして、お手をする。

ここまではどの犬もできる。

教えておこう。

女はだめだ。

女は「えーあげちゃっていいのかな」とか言いやがるからな。

狙うなら男だ。男は単純だからな。

男の方を見つめて伏せしてお尻降るんだ。上目遣いでな。

構ってくれそうなそぶりを見せたタイミングで、、、ヘコヘコ息をしながら脇へ擦り寄る。

これでもう俺の可愛さにイチコロだ。


俺はウィンナーをゲットした!!

ちょろいぜ!

俺の食べっぷりに男どもはウィンナーをさらによこす。

ふがふが。

がが!!

「!!!」

調子に乗るころにはユウタに首根っこをひつかまれる、、、。

ちぇ。見つかったぜ。


俺はリードにつながれるわけだが。

「すみませんでした。本当に。」

と言ってユウタが頭を下げる。

最高な景色だ!

アイツが俺のために頭を下げている、、、!

俺は別に彼らに迷惑をかけたわけでもなんでもないのに、ユウタは頭下げる。

そーだろ、そーだろ。

世間体からしてみたら、飼い主の監督不行き届きなわけだ。しっしっし!

俺はそれがたまらなくきもちがいい!!

言っておくがトシコさんとヒロコの時は絶対にしない。ユウタだけだ。


俺はオスであるとともに犬だ。

犬には優先順位の思考がある。

(人間がこれをカーストというらしいが。)

だから優先順位の一番下のユウタにしか俺は迷惑をかけない!!

ふふふ。

ユウタめ。


ちょろいぜ☆


だがしかし!

夕飯の硬い茶色い餌が減らされることを覚悟しなければならないことは承知の上である。


俺の優先順位

1、ばあばのチヨさん

2、母親のトシコさん

3、娘のヒロコ

4、ユウタ。

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