『穢谷&春夏秋冬のちょこっと会話Part4』
夏祭りの帰り。自宅方面行きの電車を待ちつつ、朱々が伸びをしながら言った。
「はぁー、昼間の暑さが嘘みたいね」
「そうだな。今日は寝苦しくなさそうだ」
熱帯夜が続いていたため、葬哉は顔で夜風を感じながらそう予測した。
「冷房付けて寝ないんだ」
「冷房付けて寝たら体力落ちるって言うじゃん。俺これ以上落ちたら命の危機がありそうだからな」
「そう思うなら運動しなさいよ……」
ジト目をする朱々はさらに言葉を続ける。
「でも冷房付けないで寝てる間に熱中症で死んじゃったら体力もクソもあったもんじゃないけどね」
「クソとか言うなクソとか。さっきまで浴衣着てたんだからもっとお淑やかにならなきゃだろ?」
「いやそもそも浴衣着たらお淑やかになるっていう発想がおかしくない?」
当然のように言う葬哉に困惑の色を見せる朱々だった。
△▼△▼△
二学期の始め。夏休み気分が一気に抜ける実力テストが実施された。全五教科の結果が返却され、葬哉と朱々はお互いの点数の話をしていた。
「あんたと点数の話してもつまんないわねー。比べるに値しなさ過ぎる」
「うっるせぇ。お前の点数が高過ぎんだよ。なんだよ五教科合計489点って。マンガか」
葬哉のツッコミにドヤ顔で笑う朱々。
「ふっ、今の私ならリーマン予想も解ける気がするわ」
「いや、それは流石に無理だろ……」
△▼△▼△
何部かわからないが、ピチッと肌に密着して身体のラインがはっきりと浮き出るアンダーシャツを着てランニングする女子生徒を見て、葬哉が呟く。
「女子のフィット系アンダーシャツ、めっちゃイイな……」
「キッモ」
朱々は葬哉にゴミを見るような目を向ける。
「何がキモいんだよ。この程度のこと男子高校生の日常会話だろ」
「じゃあ男子高校生同士でやったら? 私女子高生なんですけど」
「おいおい。お前俺にそんなこと話せる男友達がいないと知っててんなこと言ってんのか?」
「だからって私に話すのもおかしいでしょ……」
朱々がため息混じりに言うと。
「まぁ、お前になら逆いって遠慮して話せないことないまであるからな俺」
「何よそれ……何の逆いったのよ」
しかしながら朱々も、お互いガチの本音を言い合えることに居心地の良さを否めないのであった。
△▼△▼△
「土◯◯鳳、俺そんなに好きじゃないんだよな」
「いきなり何?」
唐突な葬哉の言葉に首をひねる朱々。
「やっぱ新◯結◯と◯岡里◯が俺の中でのツートップだな」
「ふーん、私は◯◯環奈ちゃんが可愛いと思うけど」
「いや、ヤツは完璧過ぎる。年も近くて信用ならねぇ」
「ヤツって……あんた何様なの。ていうか、何で◯屋太◯のこと嫌いなわけ?」
朱々の問いに葬哉は即答した。
「あの人の可愛いってさ、ブス寄りの可愛いだと思うんだよ」
「可愛いにブス寄りがあること自体初耳なんだけど」
【Part5へ続く】
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