No.2『最初の放送』
特技なし、好きなものなし、趣味もなし。強いて好き嫌いを言うなら、他人が嫌い。
あと『青春』と呼ばれる目に見えない存在が嫌いだ。
嫌いな理由に深い意味はない。ただただ嫌いなだけ。生理的に無理ってヤツだな。
いやまぁ俺個人としてはそう思いたいだけで、実際は自分が青春をまったく楽しめていないから、
あとは昔とあるヤツが俺に言った言葉も理由のひとつなんだが、それは今はいいや。
意味もなく人を嫌い、社会に文句ばっかり言う。そういう社会不適合者さが、唯一の俺の特徴とも言える。つまり俺から社会不適合者って
これは別に誇れることでも何でもないのだが、学校一の美少女で人気者の
ホントに誇れるようなことじゃない。それを知っているからといって、俺、
確かにその秘密を上手く使えば、俺はアイツに一泡吹かせられるかもしれない。青春楽しんじゃってるヤツをぶっ殺す(社会的に)という願望がひとつ叶うかもしれない。
もちろん中学生で
だがアイツはまったくそれに動じなかった。
「あんたみたいな友達いないゴミカスぼっちが言ったこと、信じる人いないでしょ」
「…………………」
いやマジで。ホントそれ言われた時、正論過ぎてなんも言い返せなかった。泣きそうだった、てか家帰って泣いた。
その通りなんだよ。俺ごときが人気者、
それから俺は春夏秋冬を追いかける形で高校にあがり、何も無いままこうして高校二年生にまでなってしまった。
「おーし、全員いるな。ショート始めるぞ」
なんたら先生が帰りのSHR(ショートホームルーム)の開始を告げた。ショートと言ってるだけあって、ものの十分もかからない。
俺はチラリと
昨日人の金をパクるという普通にブタ箱行きの罪を犯したというのに、なんであんなにキラキラ輝かしいんだ? どんだけ図太い精神してんの?
その時、俺の視線に気付いた
春夏秋冬はニコっと俺に笑いかけてくる。
……右手の中指さえ立ててなければ恋に落ちてしまってもおかしくないほどだったな。
結局はこの程度の関係なのだ。互いに嫌いだから深く関わることなんてない。アイツと俺のスクールカースト差は天と地ほど違う。
腹黒だろうが性格ブスだろうが、人気者には変わりないわけで。
何が言いたいかって言うと、俺に青春なんてものは微塵も関係しないってこと。俺は青春を満喫してるヤツらをぶっ殺してやると心に決めているからな!
昨日の春夏秋冬との会話で改めて自分の目標を再確認することが出来た。なんか知らんが今日は気分がいいな……。
しかし、ショートが終わりに近づいてきた時、耳を疑う校内放送が流れた。
『二年六組の
「「は?」」
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