第3話とても強い左腕とても弱い左腕
教室に変えるとやはり僕らのことは噂になっていた。
おめでとうとか色々言われたけど無視した。
柳の髪の毛はやはり綺麗に輝いていた。
あの輝きはもしかしたらブラックパールじゃなくてオパールの方だと思う。
ぼーっとしているうちに彼女の余命が2ヶ月になった。
今の季節は冬。彼女の宝石化の進行は緩やかになって言った。
彼女へのいじめは日に日に強くなってった。
僕は、その度に止めて体確認して、始まったらまた止めて。
ずっと繰り返してた。
「最近は、どこが宝石になったの?」
「最近は…そうね、内蔵部分がチラホラ。宝石と言うよりかは鉱物の鉄だとかアルミだとか。」
内側からも進行する病気。こんな美しくも残酷な病気はほかにあるのだろうか。色々確かめていると左腕をにぎられた。
「最近うで、細くなったよね。ダイエット?」
「いや、特になんもしてないけど。最近力も入んなくて…んー、なんだろ。」
ふと彼女の腕も見てみるととても輝いているように見えた。
「柳の左腕、綺麗だな。」
「えっ?あぁ、これはダイヤモンドだよ。今私の体の中では特に強いよ。」
指先まで綺麗な左腕。
どこまでも華奢な右足。
耳にかけられた輝く髪の毛。
見えなくなった右目。
綺麗な涙。
彼女が宝石になる度美しくなる。
僕の胸も苦しくなった。
あぁ、これが恋なのか。あぁ、これが恋なのか。
何故だろう。僕はただ柳を抱きしめていた。
代われるものなら代わりたい。
胸が痛い。花が咲くように。
とある花言葉。ゲッカビジンの花言葉。儚い美、儚い恋。それは、今の柳に当てはまる。
ふと柳の方を見た。頬を赤く染めた。ガーネットの色を使った。
彼女の血液はガーネット。涙は…?
「あ…れれ?涙が、いしじゃ、ない?」
そう、彼女が言う。
多分彼女の涙は宝石。南極石だと思う。
でも言わなかった。
落ち着いてきたから教室に先に帰ることにした。
力の入らない左腕。
「ごめんね」
誰かに言った訳でもないけど。言葉を待った。
僕は、病気だった。思い出してしまった。忘れたかったけど。
僕の病気は、体が植物になる病気。彼女よりはちょっとは生きられる。
君と同じ。あしたから、入院だった。
帰りに柳に渡した華がある。
それは………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます