第37話 6日目①

 さてさて、朝ごはんをいつも通り食べ終えた僕たちは、矢印となった看板の一歩後ろにいる。

「ねぇ、早く行こうよ。」御紋さんが急かす。

「行くことは行くんだけど、なんか行きづらいよね。」三谷さんが言う。

「この先何なんだろう。」椎名さん。そう、ここは洞窟の入り口なのだ。中は全く見えない。

「何でしょうね。予想ですけど炎っていうぐらいだから、火山とかですかね。」僕が言う。

「もう、予想とかいいよ。ほらっ。」御紋さんがさっと歩き始める。結局僕たちはついていく。このパターンどっかであった気がする。

「暗いね。あと、洞窟なのに、涼しくない。」御紋さんの一言。

「たしかに。」何があるんだろう。そう思い呟く。

「結構長そうだね。」三谷さん。

「こっちであってるよね。進む方向。」椎名さん。

 みんなでこんな感じで洞窟のごつごつした地面を歩くも、段々暇になってくる。

「暇。しりとりしよう。」御紋さんが言う。中三でしりとりか、と思いつつ、

「良いですよ。」と僕が言うと、

「いいよ。」

「やろ。」と二人からも返って来た。順番は、歩いてる順で、御紋さん、三谷さん、椎名さん、僕のようだ。

「じゃあ、しりとり。」

「りんご。」

「五街道。」

「なんで急に五街道。『う』ですね。ウクライナ。」

「那覇。」

「班田収授。」

「これは、『ゆ』でいいね。ユーカリ。」

「リトアニア。」

天照大神あまてらすおおみかみ。」

「水無月。」

「機関車。」

「山。」

「マグマ。」なんか自然物が続いてるな。なんてどうでもいい感想を抱いた。というか、みんな個性強すぎないか。天照大神をしりとりで使うとは。

「結局、また、『ま』だよ。えーと、、、。」三谷さんが迷っている。まりもとか、マスクとかマリファナとか色々あるよ。と思ってたら、一気に視界が開けた。目の前はマグマだった。

「えっ、なにこれ。」やはり、最初は御紋さん。

「マグマだよね。だから、涼しくなかったんだ。ていうか、暑い。」三谷さん。

「怖い。ほら、ぐつぐつ言ってるよ。」椎名さん。

「でも通るしかないですよね。」僕がそう言うと、御紋さんが迷いなく、進み始めた。ちょうどタイミングが悪い。マグマが跳ねている。あっ、御紋さんに当たる。マグマは700℃ぐらいはあったはずだ。危ない、と思った時、御紋さんに当たるはずのマグマが何かにぶつかって、下に落ちて行った。垂れて行った、の方が正しいか。何が起きたのだろう。御紋さんが助かってよかったけど。御紋さんも驚いて、こっちに戻ってきている。

「助かったけど、何。今の。」御紋さんが僕たちに言う。

「分かんないです。」とりあえず答えておく。

「なんか、バリアっていうか、結界みたいな感じだったね。」三谷さんが冷静に言う。

「あっ。」椎名さんが小さいが通る声で言う。

「今のって私かも。」その真意を訊こうと、御紋さんが

「どういうこと?」と言っている。僕はなんとなくわかった。

「たぶん、私が危ないと思って、バリアを張ったのよ。」そう答える、椎名さん。

「そんなこと、京華ちゃんできたっけ。」三谷さんが訊く。これには、御紋さんが閃いたようで、

「あの時の鍵のグレードアッってことかな。」と言っている。そうか、あのときはよくわかんないねで済ましたんだっけ。

「じゃあ、京華ちゃんに守ってもらえるってこと?」そう御紋さんがうれしそうに訊くが、

「魔力使っちゃうかも。危ないときだけだね。」と答えている。

「でも、マグマ通さないのはすごいと思いますよ。」僕がそう言って、また僕たちは歩を進め始めた。

 さっきは、マグマに驚いたものの、あんなに飛び跳ねるのは珍しいようで、割と安全に歩けた。

「マグマ、すごいよね。生きてるみたい。」と椎名さん。

「うん。ちょっと不気味。」と三谷さん。

「そう?おもしろいよ。」と御紋さん。こんな感じで、どんどん歩いて行った。どれぐらい歩いただろうか。マグマが左手にあったのだが、なくなっている。

「結構長いよね。」そんなことを言っていると、道の雰囲気が変わり始めた。

 マグマの赤さが鮮烈な印象だ。作り物のようにも見える。

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