第17話 3日目③
四人で花壇に座って、花壇のふちに座って数分が経った。それでも、御紋さんの体調は戻らない。さあ、会議開始だ。
「どうしましょうか。御紋さんはまだ動きにくいですよね。」僕が言う。
「うん。ちょっとまだ、、、。」御紋さんが何とか答える。
「でも、中には入らないとね。」三谷さんが言う。
「私が入りましょうか。でも、御紋さん一人も心配ですね。」僕が言う。
「じゃあ、私が織屋くんと一緒に行こうか。」三谷さんが言う。
「それなら、私が初ちゃんと一緒に居とくね。なんかあったら、呼びに来て。」椎名さんが言う。
「では、いってきます。御紋さんはしっかり休んどいてくださいね。」そう言って、二人の前を去る。三谷さんも二人に手を振っている。御紋さんは振り返す余裕は、、、なさそうだ。
教会の中に入った。雰囲気が悪い。
「私、もう二回目だから案内するね。一階から三階まであってこの螺旋階段でつながってるみたい。ここが一階で、お話とかを聞くところかな。鐘は、ほらあの上にあるから、三階から鳴らす感じかな。と言っても階段上り切らずに走って下りたから、まだ二階、三階は分かんないけどね。」三谷さんの言葉が頼もしい。
「そういうことならとりあえず二階行きますか。でもなんで階段上り切れなかったんですかね。」
「分かんない。でも、階段を上り始めてから気分悪いって言ってた気がする。」
「へぇ。この辺になんかあるんですかね。」階段を上りつつ言う。
カサカサ。ふるふるふる。ぱわわん。ぱわわん。とんっとん。とんとんと。
なんか、音が聞こえる。いくつかの種類があるようだ。
カサカサ。ふるふるふる。ぱわわん。とん。ぱわわん。かさっ。
やっぱり聞こえる。
かさっかさ。とんとん。
音が三谷さんも聞こえてるかな、と思って横を向く。いない。なんで。
「織屋くん。」良かった。上の方から声が聞こえる。もう二階に行ったようだ。
「ここになんかいる。ぬいぐるみみたい。」
「えっ。」そう言いながら、二階に行く。目の前にたしかにぬいぐるみみたいのがいる。でもいかにも敵キャラっぽい。
かさかさ。これは松ぼっくりみたいな茶色の一匹。ふるふる。これはアクリルっぽい毛を持つ毛虫みたいな一匹。ぱわわんぱわぱわ。これは四角くてアルミっぽい胴体の一匹。とんとん。これはすごい木でできているような一匹。こんな感じで色んなのがいるが、どれも不気味な雰囲気だ。
ぱわわんぱわわんぱわぱわぱぱぱぱぱ。いきなり音が乱れている。三谷さんも驚いている。その一匹を抱え上げている。そうすると、鳴き声が変わった。よく聞くと日本語だ。
「おなかすいた。たべたい。なんか。ほしい。」小さい声が聞こえて来た。三谷さんが反応している。
「え、おなかが空いたの。織屋、おなか空いたって。」こっちを向いて言ってくる。
「あ、いいですけど、いま材料がないですね。一回戻りますか。」
「ありがたい。あの子たちにもあげたい。」
「うん。じゃあ、そうしよう。三谷さん二匹持てます?」一匹10センチぐらいだから、一人で二匹はできるぐらいだ。
「大丈夫。その重そうな二匹よろしく。」そういわれて、アルミと木の二匹を抱える。たたたたた。たたたたた。三谷さんの足音を追いかける。一階に着いた。光が差している。
「気持ちいい。風がいい。」三谷さんの声が聞こえる。
「あっ。」三谷さんの声が聞こえる。どうしたのだろう。この旅で三谷さんのあっ、を聞くのは二回目な気がする。
「何があったんですか。」この流れも二回目だ。
「あのね、この子たちがね。」三谷さんが言い終わるまでに言いたいことが分かった。この子たちの色がというか雰囲気が変わったのだ。負のオーラというかマリット教会がまとっているようなオーラが消えたのだ。教会を出た瞬間。
「椎名さん、なんか食材残ってますかね。あと水とか。」そう訊くと、
「うん。あるよ。スープぐらいなら作れる。」と返ってきた。
「じゃあ私が作りますね。三谷さん、状況の説明とこの子たちを見とくのお願い。」
「あれ、この子たち悪い魔物じゃないの。」御紋さんの少し元気が戻ったような声が村に消えてゆく。
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