第7話 2日目①
陽の光が差し込んできた。
いま、自分はベッドの中か。ああ、御紋さんとかと四段ベッドで寝ていたんだった。魔界で。じゃあ、この光は日光なのだろうか。まあ、そんなことは置いておいて、三人はまだ寝てるのだろうか。起こすのが面倒くさいだけではないのだろうか。そう思い、四段を見上げた。みんな、黒魔女製のパジャマで寝ていた。これほんとに起こしていいのかな。寝顔とか、、、。まあ、いいのか。起こしてって言ってたし。
では、と梯子に手をかける。御紋さんを一人で起こす自信はない。だけど、昨日の夜、三谷さんとは星を一緒に見て、また、と言って別れたから、一人で起こすのも気恥ずかしい。じゃあ、椎名さんだ。
ぎしっ。梯子は鳴ったけど、椎名さんは起きない。いつもは、人に注意したり、姐御キャラで通ってたりと、気が強めなイメージだけど、寝顔はかわいい。イメージなだけだろう。安心できているのか、すやすやという感じだ。こんなこと言ったら怒られそうだ。
「椎名さん、朝ですよ。」もう一度声をかけてみる。
「椎名さん。」
「ん、だれ?」
「織屋ですよ。起こしに。」梯子に上ったまま返事をする。
「ああ、織屋。本当に起こしに来てくれたの。ありがとう。ちょっとまって。ええと。うん。」まだ眠そうだ。
「のんびりしてていいですよ。では。」
「あっ。ちょっと待って。」
「なんですか。椎名さん。」
「いや。『椎名さん』でもいいけど、『京華』って呼び捨てできない?」
「ええと、、、。」
「無理しなくていいよ。」
「うん。ありがとう、京華。またね。」
「あ、うん。」眠そうな目がこっちを見ている。
次は、三谷さん。ちょっとだけ、梯子を下りて、
「三谷さん。朝ですよ。」声をかけても返事はない。
「三谷さん。三谷さん。」まだない。
「みたにさん。おきて。」まだ反応もない。ちょっと肩を叩いてみる。そして、
「三谷さん、朝だよ。」と言うと、
「うわっ。ああ、織屋くんか。いま、『起きて。』って言った?」
「うん。」
「『起きて。』といい『うん。』といい、敬語じゃない織屋くん、新鮮でいいね。かわいいよ。」
「えっ。、、、ありがとう。」言われなれない言葉を言われて、うろたえる。
「ふふ、その反応もかわいいね。」
「ん、、、。では。」梯子を下りる。
結局、御紋さんを起こすのは一人になってしまった。一番上まで梯子を上がり、椎名さんが髪を結んでいる。いつものツインテールを準備中だ。
「御紋さん。朝ですよ。起きてください。」反応がない。
「御紋さん。起きてください。」まだない。
「起きてください。」まだない。
「ねぇ、起きてくださいよ。」まだない。肩をゆすってみようか。
「ほら、御紋さん。」肩をゆする。まだないのか。
「御紋、さん。」手にちょっと触れてみる。
「ひゃあ!もう、織屋、びっくりする。」
「ああ、すみません。起きてたんですね。すみません。」
「いや別に、悪くなかったよ。驚いただけで。」
「悪くなかったってなんですか。」
「あ、いや何もない。『ねぇ、起きて。』もよかったよ。」
「え、起きてたんですか。」
「いや、、、。」
「まあ、いいですよ。準備できたら、下に降りてきてくださいね。パジャマも着替えるでしょうし。」
「そうだね。織屋のパジャマ姿、初めて見たかも。似合ってるよ。」
「そうですか。ありがとうございます。では、下で待ってますね。」
「うん。」
梯子を全部下りて、自分の準備に移る。とりあえず、椎名さんに作り出してもらった、昨日と違う私服に着替えて、朝ごはんの準備。とりあえず、生野菜のサラダのために、キュウリを輪切りにし、プチトマトを半分に切った。レタスもちぎって、お皿に取り分ける。主食はマッシュポテトにしようかな。ココアはなぜか、シスターの御紋さんが作り出せた。マグカップに入ったまま。朝も飲みたいから、頼んでみよう。さ、全員分できた。
「みなさん、朝ごはんできましたよ。」
「はーい。」元気のいい声は、御紋さん。
「ありがと、いま行く。」これは椎名さん。
「うん、よいしょ。」梯子を下りつつ、三谷さん。
さあ、楽しい朝ごはんが始まる。
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