自慢じゃないけど地理Bは評価5だった。もっとも10段階評価でだけど。
「ただいまー」
「おう、おかえり」
家に帰るとおかえりと出迎えてくれる
しかしテレビの前に寝そべった
たぶんおそらく昼間は勇者的活動(?)をしているらしいので大丈夫だろうが、帰ってくる時間帯はだいたいこんな感じでだらだらしているので、あまり勇者っぽいとこを見ることがないのだ。
ひとまずシャワーを浴びようと着替えていると、
「おい、今日のえーが、るろーにけんしんとかいうやつで、面白そうだぞ。録るか?」
「いや、前にやったとき撮ってあるから、録画はいらない」
「ふーん、そうか」
テレビもビデオもばっちりマスターしている勇者様だった。
いつもはたいてい日本酒を出すわけだけれども、今日は帰りに
メインの焼きそば以外に、生ハムの切り落としをパックのままテーブルに出す。つやつやと赤い生ハムはいかにも美味しそうだ。しかし、それをのぞき込んだ
「あー、なんだ。俺、魚はナマでもいけんだが、その、肉はちょっと、な」
「へぇ、そうなんだ」
いやでも、せっかく
「でもこれ、生肉じゃないから。えーと、ハムの一種」
「は? これが? ハム?」
「うん。生ハムっていうハム」
「
「うん。うん? あれ?」
あれ、生ハムってナマなのか?
「いやいやいや。たぶん冷燻か塩漬けか、されてるはず。確か」
「ふぅぅぅん」
「これがハムなぁ」
そっと手を伸ばし、端っこを少し引きちぎった。まじまじ見つめ、明かりに透かし、おもむろに口へ放り込む。小難しい顔で はむはむと吟味し、そして。にやぁと満面の笑みを浮かべた。
「……
相変わらず低レベルな食レポながらその感動はひしひしと伝わってきた。
「これは、さぞかし酒に合うだろうなぁ」
今度は大きくちぎった生ハムを咥えながら、
「日本酒にも合うけどね。やっぱ生ハムと言えばこれでしょ」
買ってきたアルパカワインのボトルを取り出し開ける。自分用のグラスと
「おおっ、ワインだな!」
彼方はキャップをくるくる回して見て、香りを嗅ぎ、こくりとテイスティングした。かっぱのくせに、ムダにカッコいい。
「うん、美味い」
それ以上に讃える言葉は不要とでも言いたげなドヤ顔だけど、単に語彙力足りてないだけだろう。
「この味わいでまさかの一本500円なんだから、侮れないよな、チリワイン」
「生ハムともばっちりじゃねーか。そのチリワインのチリってのは、なんだ?」
生ハムをちぎちぎ食べつつアルパカワインを傾けて、
「え。そういう国だけど? チリって国から輸入したワインだから、チリワイン」
「ほう。どんな国だ? 遠いのか?」
「えーと。遠いよ。どんなって、確か、なんか長い国……?」
「ふうん? 長い? で、政治体制は? 経済は? 人口は?」
畳かけられて、げふげふとワインでむせそうになった。そんなことを聞かれても、チリのことなどほぼ知らない。なんとなくタバスコのイメージが浮かんできたが、さて、チリとタバスコになにか関係とかあっただろうか。むしろ、チリソース? たぶんあれはチリ原産だ。だってチリソースだし。うん。
「そもそも、この世界にはどのぐらいの数の国があるんだ?」
そう聞いてくる
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