PBの紙パック酒も結構美味い。
冷蔵庫に冷やしておいた日本酒をペットボトルのキャップに注ぐ。
謎のかっぱはキャップをぐいっと煽った。
こいつ、かなりいける口だ。
「俺は、てっきり危機的世界に召喚されて活躍するつもりだったんだ」
早くも顔を赤くしたかっぱが愚痴る。俺も自分のおちょこに酒を注いで、うんうんと頷いた。
風呂場での邂逅の直後。俺はかっぱの問いを全力否定した。変なかっぱを召喚する儀式をした覚えはないし、まして世界の王などではない。そうしたら、かっぱはひどく落胆し、ぶくぶくと湯船の底へ沈んでしまった。
慌ててすくい上げ、わけも分からないまま晩酌に誘ってみたらかっぱが満更でもなく、今に至る。
助けたかっぱは“
俺も
「今さらなんだけど、お前かっぱなの?」
刺身と格闘するかっぱ改め
「は? かっぱ? なんだそりゃ」
かっぱはかっぱを知らなかった。
ググって出てきたかっぱの絵を
「こっちの世界にも
「いやこれは、かっぱっていう空想上の生き物、だったはずだけど」
なんか目の前にいる。実在の生物なのか。
「というか、さっきっからちょいちょい気になってたんだけど、お前って異世界から来たとかなの?」
「まぁそういうことになるンだろうな」
「にしても、この酒うまいな。どんどんいける。悪いな、呑んじまって」
地元スーパーが取り扱っているプライベードブランドの紙パック酒なので、キャップで何杯呑まれようとそう痛くない。気前よく次を注いでやる。
「気にせず呑めよ。それにしても、またどうしてうちの風呂なんかに?」
「それな。俺はてっきりお前が喚んだんだと思ったんだが」
「それはない。絶対ない。俺は喚んでない」
「そうかぁ」
「そもそもな。まぁ見ての通り俺は勇者なわけなんだが」
やや照れたようにそう告白する
このかっぱ、勇者だったのか。そんな心中が顔に出てしまったのだろう。
「
「柿ピーの柿の方」
「いや、でも
ボリボリとむさぼり、ぐーっとキャップ酒を流し込む。ぷはぁと、さも満足そうに息を吐いた。
ますます勇者には見えない。
「で。お前は、もといた世界で勇者だったんだ?」
かっぱはこくりと頷くと、酒をひとくち舐めて話し出した。
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