第6話
11。『驚異?! ビキニアーマー、隠形の術!』
「女性なんて、居ないじゃない」
と頬を膨らませながら、ローテは半眼で言った。
…!?
………確かにローテの視線の先にスターマは…いる…。
…なのに、見えない……だと?
何で?
どーしてだ ?!…俺、結構 ハッキリ見えるんですけど…。
うーむ。
……………………おお!? もしかして…。
テレビであるみたいに…見える人と見えない人がいる…みたいな設定、霊感かな?
あ、異世界なら……『〈
…そういうチート的な何か、かな?
゛……あの、ミタ…さん………でしたか?…゛
ん、何だね助手のスターマくん? 確かに俺は私立探偵 三田だが?
゛…私立、探偵?…ミタさんは、何か特殊なご職業、軍か何処かで偵察兵などを『されてる』のですか?!゛
うむ!俺はいわゆる『逆さ霊視探偵職』という至高の…って今、『されてる』とか言った?
゛え?…あ、はい。言いましたけど…゛
………何で? 何で『されてる』?…現役?…存、命、中?
゛………あの、ミタさんも私と同じ〈
スターマが、眼鏡を煌めかせながら聞いて来る。
…………は? レイスって…
゛はい。゛
………………ちょっと待て!?
えーと、生霊って事は……肉体から、テレビでよくやる幽体離脱とかした状態の事だろ?
゛え?…ええ、そうですね。 テレビは存じませんが…゛
……………………………………………………………………………………………
………手前ぇ~!生きてるんじゃねぇか!
゛え?! あのあの………言いませんでした…?゛
聞いてねぇし! 言ってねぇよ!!
゛…す、すみません!…ただ、あああ!……余り怒らないで下さい!…波動が、つ…強過ぎ、て…゛
スターマの身体…霊体にノイズみたいなものが走る。
………へ? ちょ?!…な、何?…どうかしました、か? スターマさん? 俺…いや、ボク何かしました?!
゛…く、ぅ!…ふう………やっぱり、コイツだ…゛
ど、どした?! な、何か最期にして欲しい事とか…あ、ある?! ありますか!?
゛………だ、大丈夫…です…すみません…あと、最期とか言わない、で下さい…゛
…ほ、本当に…?
゛…はい。落ち着きました…゛
…………はあっ。
………………それで……さっきの発作は何? 持病の癪とかじゃないよね、霊体だし…。
…それとも、本体に何かあったの?
゛……………本当に、何もお気付きではないのですね…゛
スターマは何故か俯きながら話して来る。
…ん?
゛………本来、霊体というのは見えません…゛
…へえ。
゛……通常、人に害をもたらすようになったゴーストやファントムという死霊達には、多かれ少なかれ…〈蟲〉が付いているのです゛
ふむ。
゛…………分かります?゛
…今のところは、多分。
゛………………結論から言いますと、ミタさんには…゛
ふむふむ。
゛…〈浄化〉の能力が、ある…゛
き、来た!? チート来たあああああああああああああああああああああ!!
゛………………かも、知れません゛
彼女は顔を背けながら言った。
をい?!
゛だ、だって実験した訳でもないですし………キモいし゛
また、゛ブリ゛のポージングを…。
……あと、今シレっとキモいって言ったろ!? 言ったな?キモいって!?
゛…き…゛
……き?
゛…聞こえちゃいました?゛
何故か全く悪びれないイイ笑顔の生霊女スターマ助手。
聞こえるわ、悪霊女!
というか聞こえるように言っただろ!
んじゃあ何か?!
結局、何も分からず仕舞いか?
チート無双は? いつまでも俺のターンは?
それでもってターンアンデッドし放題やり放題での『黄泉還し!』みたいな決め台詞を考えてしまった俺の立場は?
どっかの聖王国の王女と恋仲になって、最高司祭とか大神官になって、ゆくゆくは神官王とか神聖帝にまで登り詰めるという異世界さくさくサクセスストーリーはどーしてくれる?!
゛…いや、そんな先までの空回りな将来設計を、私に聞かれましても……あの一瞬で、そこまで考えてたなんて………本当にキモいですね?゛
真顔でキモい言うなあああああああああ!
ドゲシッ!!
「…さっきから、アタシを無視して…一人で何喚いてるのよ!」
………あ、こんにちはローテさん…居たんですね?
ゲシ!…ボスボスッ、ゴスゴスゴス!………!……。
12。『悪霊女の怨霊発揮!』
『西大陸冒険者ギルド 北部統括本部』
………………………………はあ。
とうとう来たな…。
…言い訳のしようもない『異世界仕様』が…。
゛…あの、何故かは知りませんが…ご愁傷様です゛
はいはい…。
…って、まだ居たの?…この娘は。
早く帰らないと、お家の人が心配するよ…?
゛大丈夫です。一人暮らしですから……それより、私に帰って欲しいみたいな素振りは止めて下さい…゛
…いや、姿が見えない生霊と話してたら…。
また、ローテにぶっ飛ばされーの踏み潰されーので非常に迷惑なんスヨー…。
…だからー。
…………………………去れ、悪霊よ!!
゛ひ、酷いです! そんな本気で
なー、帰ってくれよー。
゛………う……うう、そんな事して本当に退散させられたらどうするんですか?!私の気持ちは?!
…な、哭きますよ、私?! いいんですか?!゛
…え?いや、何だ…その…………………すうっ…とする。
゛……み、ミタさん?! 貴方とうとう
……………………で? いつ帰るの?
すると、スターマは眼鏡のズレを直し…。
゛!………そうですか………………呪われろ(ボソ)゛
…あ? 何だって?
俯きながら、眼鏡ドジッ娘属性としては何か致命的な言霊を、ボソリとツイートしたように聞こえた気がしたのだが…。
ヒヤリ…。
急激に周囲の気温が下がり始め…。
彼女の、闇の患いが始まった…。
゛呪われろ………呪われろ……呪われろ…呪われろ!゛
…?! ちょ…ちょっと…。
゛…呪い、呪われて、呪う刻、呪えば、呪え!゛
こ、怖い怖い怖い! それに近い近い!
な、何でこの眼鏡女子は…事ある毎に近寄って来るの?!
それに怖過ぎる!
お嬢系で結構可愛いからこそ、このギャップは…。
逆さまな上に、凄まじい呪詛を撒き散らしながら…カッと見開かれた血走った眼光を至近距離で向けられるって…紛う事なき拷問ですよね?!
た、助けてえぇ~姐さん!ローテ様~!!
゛…………何度も言ってるけど、逆さまなのは貴方だから………………何でよ!『運命の人』だと思ったのに…゛
……………へ? 運命って…?
゛もう、いいわ!……ここで開くから…゛
ひ、開くって………何を?
゛『彼方なる岸辺の守り人』よ!…『此方の送り人』より哭き願う!…今は亡き者たちの帰還を!!゛
そう叫んだ…いや、哭いたスターマの表情は この上ない愉悦に満ちていた…。
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