疑うを欲す

「――――ここは飼育場と第一倉庫。沢山の鉱石と幻想種がいる」


 ハクがそう言って、厚い鉄製の扉を開く。光廣はそれをぐるっと見回して、ムワッとかかる水分の多い空気に触れた。


「ルヴィ。ルヴィ? いる?」


 リリーの呼ぶ声を聞いて、ガタンと奥から音がする。積まれた本。枠に詰められた鉱粒。木箱に山盛りにされている鉱石。その間から、にゅっと出てきたのは、血色の良い肌の、鋭く黒い爪の腕。


「ちょっと引っ張ってくれないか」


 埋まっているらしい。少年の声は、高らかに、確かに、くぐもって聞こえた。軽い足で様子を見に行くと、人一人くらいが、色とりどりの鉱石と皮張りの本に埋まっているだろうと予想される、山があった。腕はその斜面から出ており、生えた付け根の皮膚には、いくつかの鉱石の破片が埋め込まれているように見えた。


「また寝ちゃったの?」


 そう笑って、ハクが、腕を引き上げ、少年を立ち上がらせた。彼は笑って頷く。


「紹介するね。こちらはルヴィ・サナトリア。ここの倉庫番で、最近ここにやって来たんだ」


 ハクはルヴィの目線を光廣に合わせ、対面させる。ルヴィは清潔とは言えないようなシャツに、ホコリで粉っぽくなったパンツを履いて、ベルトで固定している。顔は平々凡々と言った具合で、悪くは無いが、良くもなかった。ただ、やはり、服装とは相反して、健康そうではあった。


「……新入生? この時期に?」


 ルヴィが不思議そうな表情で、光廣を覗く。マジマジと見る彼の瞳は、名前の通り、紅く奥から光っている。それが真紅の髪と同等の煌めきを放っていた。


「いや、客人だよ。君も聞いたことある人のね」


 微笑んだハクが、光廣の背を押した。それを合図と踏んで、光廣は既に慣れ始めた自己紹介をスラスラと出した。


「大宮家金糸屋、大宮真夜様が守護者の、格由光廣です。豊宮和一君の連れとして来ました」


 ふうん、と、鼻を鳴らして、ルヴィが首を傾げる。


「豊宮和一って、最一の魔女の?」


 興味無さそうに、首をまた大きくかしげた。


「その肝心の、豊宮和一はどこ?」


 ルヴィが軽い声を出して笑う。ハクとリリーが顔を合わせて、困ったような顔をした。


「それが、食堂で朝ご飯食べてる間に、凄い顔で出ていって。何か、『力と金を毟りとってくる』ってそのままわからなくなっちゃったから。それで、あんまり魔女について知らない光廣君を案内しようって話になったんだよ」


 リリーのそんなから笑いに、ルヴィは難しそうな顔をしたと思うと、パッと明るく笑う。


「その凄い顔って、あんな感じの顔?」


 ルヴィが片手で開けた扉。明るい温もりの感じられる光は、白熱灯のようなもので、ひたすらに暖かかった。温度と光だけを感じれば、優しげではある。しかし、その奥で、とっ組み合いになっている少年二人の、汗だくな姿を見れば、それは直ちに暑苦しいという感想に変わった。


「駆け込んだ音が聞こえて、悪魔に似た高笑いが聞こえた。あと『カズト死ね』って聞こえたから、そうだろうなと思った」


 一回り程体が大きくなったような、小綺麗なシャツとベストの一式を着込んだカズは、動きやすそうなパーカーとズボンを着た黒髪の少年の胸ぐらを掴んで牙を見せている。が、それを軽蔑するような表情で、少年もカズの頭を鷲掴んでいた。硬直状態。周囲の熱気のせいか、狭さのせいか、何かに気を使っているのか、静かに彼らは争っている。


「ハク達か? 丁度いい。この強欲野郎を引っペがして連れ帰ってくれ」


 眉間に皺を寄せた、少年は、手に力を込めたようで、ゴリゴリという音が、掴まれているカズの頭から聞こえた。その腕も、太く、血管が膨れる。


「ちょっと力貸してくれって願いに来ただけじゃね……いでででででで」


 更に締め付けられる頭の痛みに、痛烈な叫びをあげた。


「人の目を盗んで卵強奪しようとしたのは誰だ阿呆め。力を貸すならまだしも、お前に我が子を食わせる義理は無い」


 我が子、として指し示した指の先には、いくつものダチョウの卵のようなものが並べられ、温められていた。それはどこかで見たことがある、ファンタジー小説で読んだだけのような気もする、銀に輝く表面や、オパールの如く輝く歪んでいるようで整った球体。


「……ドラゴンの卵……?」


 物珍しそうに、光廣が、生唾飲んでそう尋ねた。


「主に鉱石竜のな。ここで保護と繁殖を行ってる」


 少年がカズの頭を掴んだまま、何かどろりとした液体が詰まったバケツに勢いよく押し込む。息を吐く音が、ごぼりというねっとりとした音になり、カズは粘液塗れの顔を上げた。


「希少価値が高いんだ。いい資金源のなる」


 カズは悪びれもなく、新調したシャツを汚しつつ、顔を拭う。その後ろ、なんの躊躇も無く少年が、カズの後頭部めがけて硬い何かを投げつける。


「コイツらは資金源じゃない。人類が守るべき生命だ。俺が守っているものだ。俺の家族で子供だ。テメーはコイツらのクソに触れるのもおこがましい」


 少年がカズに投げたのは、何か鉱石の一種らしく、結晶化しており、破片が床に落ちて散らばった。カズの後頭部からいくらか血液が垂れ出ていることを見ると、どうやら相当硬いものであることがわかる。


「……彼はソフィ。竜守の魔女。小さい時からここで勉強して、鉱石竜と育ってるんだ。だから今はここの管理を任されてる。ボクらとは幼馴染」


 ハクが笑ってそう言うと、ソフィは床に散らばった鉱石を拾い上げ、光廣を睨む。


「なんだ、日本人か」


 睨む瞳は延々と燃える炎の色。夕陽にも見えるそれは、輝いて、ただ奥底を燃やすのみである。


「宮家か? あちらのドラゴンは神として崇められてると聞くが、コイツ含め、本当はそこまで崇めてないのか?」


 諦めにも近い表情で、ソフィは保温器の中の卵を撫でた。


「いや、崇めてるよ。龍神って言うんだ。豊宮家がちょっと特殊なだけで、他は皆、僕みたいな感じかな……いや、利用してるっていう意味では……」


「……もういい。飼育はしてないってことだろ。それがそうならそれだけでいい」


 落ち着きのない説明を遮って、ソフィは椅子にかけてあった上着を取り、倉庫の扉まで歩き出す。


「俺から家族を奪うより、もっと弱みのある奴らはあるだろ。そいつらに金なら毟り取ればいい。用がないなら早くそっち行け。俺は俺でやる事がある」


 一定の冷気が顔にあたる。保温器はやはり熱気の元だったようで、湯気として外に出た。久しぶりにも感じる外の空気は、肺を満たして暖まる。それがまた出ていって、足も共に外へ出てしまった。


「ルヴィ、行くぞ。行商が来る」


 ソフィはそう言って、カズを殴るための拳として手を握りしめたまま、足を鳴らして廊下を歩く。それをただ見るだけの一行は、腐ったような臭いを感じ、揃ってその場を離れた。元いた場所を見ると、そこに居たのはムッと顔を顰めるカズである。被った粘液が排泄物か、それに近い何かだったのだろうか。どう考えようとも、臭いはそこから発せられている。


「洗濯で落ちる気しないよ、これ」


 ハクがちょんちょんとベストに染み付く粘液に触れ、匂いを嗅ぐ。


「しょうがない。もう一度着替えてくる。そういえばフセとアキラはどうした。ルシアンも見えないが。和姫も」


 カズが尋ねたことに対して、半分突き放すように、耐えかねたようなリリーが言った。


「伏子ちゃんは疲れて眠りに。和姫とアキラさんは学院長に呼ばれて。ルシアンはいつも通りマイペースにどこかに行ったの。お願いだから早く着替えてきて。私達、広場で行商を見てるから。ついでに活動資金なら早く取ってきちゃって!」


 光廣の背をぐっと押し、次の場所へと行こうと、カズを置いて廊下を走る。ハクもそれに伴って、じゃあ、と走り去る。


「あの臭い、魔女の血族には我慢出来なくて……」


 どうやら、種族の差もあるらしい。光廣は逃げる程の臭いには感じていなかったが、彼らには相当堪えるものだったようである。カズは鼻が麻痺していたのだろうか。それとも、何かの差が更にあるのか。わかりはしないが、それが妙に引っかかって、光廣は見える陽の光を顔にかけながら、重い脳を動かした。


「もうすぐ広場だ。まだ品がはけてないといいけど」


 ハクのその言葉が聞こえた頃、子供や大人の楽しげな声が聞こえた。外ではぶつかるコインの音。値切りの声。品を紹介する商人の声。


 日本の朝市にも似たそれは、静かな学院の中で、異質に見える世界を作り出している。


「召喚魔法用の物資はあまり売れないから、カズが来るまで大丈夫だとは思うけど。暫くここで寝泊まりするなら、その道具を少し揃えなくちゃね。せっかくアカデミーに来たんだし、お土産探しにも良いんじゃないかな」


 ハクがそう光廣に笑う。追いつかない思考。楽しげな雰囲気に押されそうになっていた、その言葉を投げた。


「お金持ってきてないんだ。僕」


 そうだなあ、と、光廣の言葉にハクが考える表情をして、にぱっと笑う。


「立て替えといてあげるよ。君は客人だもの。後で学院長に言えば資金が降りる。西の魔女は客人を大切にするんだ」


 押された背は、前のめりになって、一歩、外に踏みでる勇気を与える。胸と頭がざわめいて、目が揺れる。それは初めて見る明るさと輝かしさを感じているからだろうか。目の前にあるのは、異国の地の、激しい商売合戦。隣で必死に自分に声をかけるのは、民族衣装を着ている人々。布に生物、鉱石、植物、なんなのか分からない液体等の数々。


「欲しいものの前で止まって。それ以外で止まると捕まる。ちょっと強引なんだ、皆」


 リリーの言葉で、光廣は歩き出す。知らないものばかりで、何が欲しいのかもわからない。土産品となりそうなもの、というのがわからなかった。主人である真夜がそもそも外に出ることが今まで叶わなかったのである。守護者である自分も、街に外にあまり出たことがなかった。


「お土産って、何を買えばいいのかな」


 純粋な疑問を打ち出すと、ハクはキョトンとして顔をリリーと見合わせる。


「お菓子とかは? いっぱいあるよ? そこの干した飛水鳥とか、甘くて美味しいんだ」


 ハクが指差した先にあったのは、透明な液体が入った瓶。それが干した鳥であると、ハッキリと言ってみせる。


「飛水鳥は死ぬと水のようになる。そうやって狩場だった川に、自分を還元する。そうなる前に水分を抜くように干すと、透明で旨みのある甘い調味料として使える」


 商品の説明だろうか。どっしりとゴザを敷いて座っていた店主と思わしき男が、どこか聞いたことのある声でそう言った。


「火は通しちゃいけない。幻想種として、相性が悪いんだ。一定の熱の中あると、火がついて全て灰になってしまう。一瞬でな」


 落ち着いた声色は、地に這って、光廣やハク、リリーに届く。ハクはハッとして、男を見た。


「コージ先生!」


 顔に巻いていた布を取り払い、男はニカッと笑う。


「久しいじゃないか。ハムレット。そちらは月ノ宮のとこの百合子か。そして、そこの坊ちゃんは、金糸屋のとこの守護者か。あんなとこに仕えるとは難儀だな。奴らに買ってやるなら、ランプとかにしておけ。宮家に幻想種を使わせちゃならん」


 コージと呼ばれたその男は、アイヌのような民族衣装を着ながらも、西洋人に近い容貌で、その雰囲気は確かに光廣は見たことがある。


「一姫さ、ん?」


 豊宮一姫。彼にとても似ている。


「あぁ、兄貴の知り合いになったのか? まーたこれは。アイツも好きものだな。よその家の守護者に首突っ込むとは」


 兄貴。つまり、彼は、コージは、豊宮家先代の次男。カズの叔父ということになる。


「豊宮公二。永久の放浪者だ。世界をずっと歩きながら、世界で商売をしている。宮家としてはもう仕事はしていないから、畏まらなくていいぞ」


 ヒラヒラと手を動かし、手の内証で、コージはへらへらと笑う。その様子が、今まで見ていたカズとどことなく似ていて、安心感を覚えた。


「青い石炭なんかなら、大宮家でも扱えんだろ。やるよ」


 手を出せ、というように、コージは軽く握った手を光廣に向ける。その手の下に両手を添えると、とんとんとそこに、青く焼ける黒い石が落ちる。熱くは無い。心地よい温もりである。


「布で包んで持っていけ。素手で触ってると眠くなるぞ」


 うつらうつらと力が抜ける。光廣は、膝からゴザのほうに一度倒れて、座ってしまった。


「……疲れてるのなら、寝かせた方がいいんじゃないか。眠くなるにも程がある」


 バラバラになりつつあった商品を手でかき集めて、コージは光廣の頭を撫でる。辛うじてある意識で、後に仰け反る。それを、ハクが受け止めた。


「寝る? 客室まで歩ける?」


 おそらくは魔法だろうか。ハクの声を合図として、ハッキリと意識を示し、石をポケットに放り投げる。それによって必然的に布で覆われたからか、眠気はそれ以上かからなくはなったが、眠気そのものは消えない。体が重く、ダルかった。


「うん、歩く」


 魔法で一瞬でここまで来たが、もしかしたらそれは錯覚だったのではないだろうか。それくらいには、疲れがぶり返している。歩くうち、光廣は意識を遠のかせて、冷たい廊下に倒れた。遠くで、少年少女の声が聞こえた。








 暗い。眠たさが冷たさとなっている。手探りでライトを探した。丁度、頭の上に、紐を見つけて引っ張ると、部屋全体があの倉庫と同じ、暖かな光に包まれた。電気は通っているんだと、納得関心をしてしまう。混乱を、壁の冷たさで覚ます。


「……アカデミー……寝ちゃったのか……」


 光廣は独り言で覚醒を早めた。情報を整理するが、妙に冴えていて、すぐに全て繋がってしまった。


 自分は眠ってしまった。青い石炭で。


 目が慣れて、机とベット、水差しと乾燥し始めたシフォンケーキ。丁寧に畳まれた着替えが、ベット横のランプの下に置かれている。書き置きを読んで、ハクとカズが用意したものを認識した。


『お腹すいたら食べてね ハク』


『昔の俺のだが着替えだ。新品だからやるよ。 カズト』


 それぞれに感謝しつつ、水分を根こそぎ奪うシフォンケーキを水と共に平らげ、少しぶかつくシャツとベスト一式に袖を通す。汚くなってしまった自分の服から石炭を取り出して、今度は、ハンカチで包んで机に置いた。


 もう皆、寝静まった時間なのだろうか。何処からも音がせず、唯一の窓から光は来ない。時差ボケというやつを、人生で初めて経験している。


「……眠れないな」


 ぐっすりと昼から寝てしまった代償だ。夜だというのに寝付けない。ランプを持って、嫌なことを思いついた。


 一人で、歩こう。この場所を。


 青い石炭をランプに入れる。ふんわりと明るくなった。やはり、これも炎だ。カランと音がして、光廣は部屋の扉を開く。先にあったのは、ただの、廊下だ。男子寮なのか、どこも似たような扉ばかりで、見分けは部屋番号だけでしかわからない。カツン、カツンと、自分の足音がする。ランプが青白く光っている。


 案内された場所をフラフラとした。倉庫、広場。何故だか最後の場所は全て、穢らしいものばかりを思い出す。歩く。歩く。先、あるのはひとつ、光った扉。隙間から光が漏れる扉。談笑する声が聞こえる。


「…………」


 光廣は耳をすませた。大人の声である。


「……嫌ね。どんどん貴方に似てくる」


 女の声。聞いたことがある。おそらくは、アリッサだろう。


「嫌なのか…………だろうに」


 聞こえずらい低音。寝惚けた耳にはわかりづらい。ただ、男であることは理解できた。


「単純に、怖いだけ。貴方のように、何処かで一人、孤独になって欲しくないのよ。あの子には」


 淡々とした声。悲しみが聞こえる。体育座りで、聞き入ってしまう。だが、コツコツという足音が、自分の近くに来たのを聞いて、駆け足でその場を離れる。後ろで、扉が開く音が聞こえた。ランプがガシャガシャと音を立てるが、追ってくる気配はない。それでも、わけもわからず走り出して、更に冷たい空気で震え上がるまで、走ってしまった。


「……ここはどこ?」


 氷のような、青い硝子の部屋。十字架。並べられた箱。並べられた長い椅子。本で見たことがある。これは、雰囲気は違えど、教会である。息が切れて、椅子に、意識せず座ってしまった。ガタンと音がする。


「誰?」


 少年の声が、前から聞こえて、立ち上がった。


「あ、いや」


 焦りを含めた声が、思いがけず自分の喉から出て、手で口を覆った。


「なんだ、君か。光廣君」


 ルシアン。その声の主の名前。暗闇が似合う。彼は吸血鬼である。


「どうしたの。眠ってしまったって聞いたけど。起きちゃった? それとも観光?」


 気さくに話す彼を、そっと胸を撫で下ろして、笑う。微笑みは緩んで、力を抜けさせる。


「眠れないのかい。でも、そろそろここには君はいない方がいい。懺悔の時間なんだ。顔を隠さない人が居るのは困る。おいで、僕の部屋にいて。僕は眠らないから、一緒に夜を明かそう」


 懺悔。その音が異様に響いた。


「……うん」


 ルシアンについて、歩き、教会の隅の扉を潜る。その中にあったのは、複数のラッパのようなものと、簡素なベット。ホルマリン漬けの人体の体達。骨格標本。そして立てかけられた棺。


「怖い?」


 ルシアンの問いに、正直に答えられない。ルシアンは困ったように笑って、口を開いた。


「母さんは」


 重い。


「狩人に捕まって、ホルマリン漬けになった。お父さんは毛皮。人狼だったから。姉さんはひとつ丸ごと標本に。兄さんは骨格標本。僕は繁殖の為に監禁された。死ぬ前に、ここの先生に連れられて、やって来た」


 軽いような重さ。


「二百年前の話。その日から僕はここで皆の懺悔を聞いてる」


 また、懺悔という言葉を響かせた。


「全員の罪を知ってる。人殺しも、不純な愛も、全否定も」


 ルシアンは、光廣を見て、また笑った。


「君の罪は何? ここは、罪を背負った人間が来る場所。罪のない人間は来れない。そういう魔法だ」


 光廣の不安そうな顔が、壊れた。


「僕は、僕は」


 自然と生み出される声の羅列が、ラッパから聞こえるもうひとつの声と、重なる。

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